最新DRAMの採用は常に、それをサポートするエコシステムによって、製品設計とシステム要件の対応が容易になるかどうかにかかっている。米国のIP(intellectual property)ベンダーであるRambusの「SPD(Serial Presence Detect)」ハブと温度センサーは、DDR5採用の決め手となるかもしれない。
最新DRAMの採用は常に、それをサポートするエコシステムによって、製品設計とシステム要件の対応が容易になるかどうかにかかっている。米国のIP(intellectual property)ベンダーであるRambusの「SPD(Serial Presence Detect)」ハブと温度センサーは、DDR5採用の決め手となるかもしれない。
これらは、データセンターおよびPC向けDDR5メモリインタフェースチップのポートフォリオの最新製品で、2021年後半に発表されたRCD(Registering Clock Driver)を補完するものだ。Rambusのメモリインタフェースチップの製品マーケティング担当バイスプレジデントを務めるJohn Eble氏は、「当社は、DDR5の実用化に向けて、技術の変化に乗じてポートフォリオを拡大し、よりインテリジェンスでコントロール可能なソリューションを提供することを目指している」と述べている。
DDR5の主な特徴は、拡張チップセットを搭載した新しいモジュールアーキテクチャを採用することでメモリ帯域幅と容量の増加を実現し、それによってサーバとクライアントのDIMM(Dual Inline Memory Module)のシグナルインテグリティと熱管理を向上させることだ。RambusのSPDハブと温度センサーは、DDR5 DIMMのシステム管理と熱制御を改善し、サーバやデスクトップPC、ノートPCに求められる電力範囲内でより高い性能を提供する。
SPDハブと温度センサーは、メモリモジュールのコンポーネントとして、システム構成と熱管理のための重要なデータを収集する。Eble氏によると、SPDハブは、RDIMM(Regisered DIMM)とUDIMM(Unbuffered DIMM)、SODIMM(Small Outline DIMM)を含めサーバおよびクライアントモジュールの両方で使用するが、温度センサーは、サーバRDIMM用に設計されているという。
同氏は、「Rambusの新製品は、多数のファンおよびシステムを調整する管理コントローラーと連携して、システム内の温度をより詳細に把握することで、熱管理とDDR5 DIMMの性能の最適化をサポートする」と付け加えた。
Eble氏は、「システムは収集された情報によって、ファンの速度やDIMM上のDRAMのリフレッシュレートについて、よりインテリジェントな決定を下し、CPU帯域幅を調整して極端な状況下でも温度を安定させることができる」と説明する。温度センサーはアラームを設定でき、I3Cシリアルインタフェースのサポートによって、フラグを付けた動作についてシステムを監視できる。
同氏は、「この種のメモリインタフェースチップによって、サーバ内のモジュール数の増加とそれによるソケットあたりのチャンネル数の増加をDDR5エコシステムに反映することができる。帯域幅が増加すると、状況はより複雑になる温度や熱の制御がより難しくなる」と述べている。
同氏によると、これらのエコシステムが構築されたことに加え、DDR5の採用はCPUの進歩、特にIntelの進歩に大きく影響されるという。Intelの第12世代Coreプロセッサ「Alder Lake(開発コード)」はDDR5をサポートし、すでに出荷されている。RambusはDDR5の評価を実施する多くの顧客を把握しているという。「DDR5の普及を後押しする次のビッグイベントは、次世代Xeonスケーラブルプロセッサ『Sapphire Rapids(開発コード)』の発売だ」(同氏)
Eble氏は、「CPUはより高熱を発するようになっている。サーバにPCleスロットとSSDを追加したことも、発熱を加速している。データセンターではいまだ空冷式が王道だ」と付け加えた。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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