Cheung氏 当社の2つ目の戦略は、RISC-Vをベースにした、さらに興味深いものとなっている。振り返ってみると、従来のFPGA企業は皆、独自のプロセッサと独自のIPを使用してきた。われわれは変わらなければならない。FPGAとは違ったことをするために、新たに2万人の従業員を雇うことはできない。そこで、オープンソースの観点からハイブリッドアプローチを採用したいと考えている。
そのため、今日現在、当社のRISC-Vプラットフォームは、完全にオープンソースのプラットフォームから構築している。また、当社の目標は、旧来のプロセスで顧客を囲い込もうとすることではない。顧客がある企業の独自プロセッサを使用していて、3カ月後に「シリコンの供給がない」と言われたら、行き詰まってしまうからだ。オープンソースは、顧客に“自由”を与える。新しいビジネスには、1社や2社のベンダーに縛られるのではなく、自由を提供するこうしたビジネスモデルが必要だと考えている。
――Efinixは、顧客基盤の拡大に向けて、製品マトリックスを構築するということだが、それはWebサイトで販売するということか。そうでなければ、どのように市場を構築するのか。
Cheung氏 直接販売やチャネル販売など、あらゆる手法を使って販売していく。これは、長年にわたって実施されてきた戦略だ。現在、多くの企業が、当社との協業に関心を寄せてくれている。FPGAに関しては直接販売する必要があるが、もう一度、組み込み製品、つまりRISC-Vに話を戻そう。FPGA内に完全に統合されたアクセラレーターが既にあり、当社のやり方は問題を複雑にしようとするものではない。当社は、顧客に基本的なテンプレートリファレンスを提供している。それによって、すぐに利用可能な製品を購入できると非常に喜んでくれる顧客もいる。同製品を使用すれば、他社のプロセスへの移植方法を理解するために頭を悩ませる必要はない。
ただし、一部のより精通した顧客が、自社のRISC-Vコアを当社のプラットフォームに迅速に組み込みたい場合は、そうすることも可能だ。当社のプラットフォームは、基本的にはソフトコアだ。現時点では例えばアプリケーションの70%は、350M〜400MHzで動作する16nmのFPGA「Titanium」を用いれば、制御やソフトウェアプログラマビリティを実現するには十分すぎるほどだ。特定の機能を高速化する必要がある場合、特別なハードウェアを構築する必要はなく、標準アクセラレーターとしてFPGAファブリックで実行するか、カスタム命令アクセラレーションとして実行するだけで済む。
――この戦略でどのように市場に参入する計画なのかを、もう少し詳しく説明してほしい。
Cheung氏 RISC-Vでは、組み込みの世界へ参入するため、販売戦略も大きく変わってくる。同市場は、システムソフトウェアエンジニアを対象にしているため、既に(従来のFPGA市場の販売とは)引き合いが違っている。リファレンスやカーネル用ライブラリを増やし、より多くのコアを構築して使いやすくする必要がある。それには、より多くのソフトウェアとパートナーシップが必要となる。これは、FPGAとは全く異なるレイヤーで、顧客数ははるかに多い。
最終的には、標準的なFPGAの2倍かそれ以上の市場規模になると考えている。また、ソフトウェアベースであるため、はるかに速く変化すると予想している。
私はハイブリッドの世界から来た。われわれが試みたのは、アクセラレーションやカスタム命令のためのライブラリでより大きなエコシステムを構築し、RTL(レジスタ転送レベル)部分の難点を最小限にすることだ。これはフルFPGAで毎回カスタマイズするよりも、はるかに簡単だ。システムソフトウェアの担当者がチップを選び、自分のシステムを構築するためのエコシステムができるはずだ。彼らはSoC(System on Chip)を再構成する柔軟性さえ得られる。
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