今回は1997年〜2000年までの動きを追う。この時期に、切手大の小型フラッシュメモリカードが登場した。
フラッシュメモリに関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」の会場では最近、「Flash Memory Timeline」の名称でフラッシュメモリと不揮発性メモリの歴史年表を壁にパネルとして掲げていた。FMSの公式サイトからはPDF形式の年表をダウンロードできる(ダウンロードサイト)。
この年表は1952年〜2022年までの、フラッシュメモリと不揮発性メモリに関する主な出来事を記述している。本シリーズではこの歴史年表を参考に、主な出来事の概略を説明してきた。原文の年表は全て英文なので、これを和文に翻訳するとともに、参考となりそうな情報を追加した。また年表の全ての出来事を網羅しているわけではないので、ご了承されたい。なお文中の人物名は敬称略、所属や役職、企業名などは当時のものである。
前回は、1996年〜1997年に登場した日本で初めてのスマートフォン、具体的には、簡易型携帯電話システム「PHS(Personal Handy-phone System)」(当初の呼び名は「ピーエイチエス」、後の呼び名は「ピッチ」)と携帯型情報端末(PDA)を融合したデバイスを報告した。
今回は切手大の小型フラッシュメモリカードを扱う。本シリーズでは第12回の続きに相当する。第12回では1996年までに「コンパクトフラッシュ(CompactFlash)」と「スマートメディア(SmartMedia)」が登場したと述べた。今回は1997年〜2000年までの動きを追う。この間に、「マルチメディアカード(MMC:MultiMedia Card)」「メモリースティック(Memory Stick)」「SDメモリーカード(SD Memory Card)」が開発された。
「マルチメディアカード(MMC:MultiMedia Card)」は、シーメンス(Siemens)とサンディスクが共同開発して1997年11月に発表した。1998年10月には共通規格の策定団体「MMCアソシエーション(MultiMedia Card Association)」が発足し、普及活動を始めた。
MMCは携帯電話端末やPHS(Personal Handy-phone System)などの用途を想定して開発された。このためインタフェースはマイクロコントローラー(マイコン)と直結できるように、7ピンのシリアルインタフェース(バス幅は1ビット)を採用している。カード自体はフラッシュメモリのほかにコントローラーを内蔵しており、コントローラーとシリアルインタフェースを介してデータをホストマシンのマイコンとやりとりする。
カードの外形寸法は長さが32mm、幅が24mm、厚さが1.4mmと、コンパクトフラッシュカード(CFカード)およびスマートメディアに比べ、ひと回り小さい。製品の記憶容量は4Mバイト(32Mビット)から始まった。
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