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減ることのない半導体と電子部品の偽造 ―― リスク承知の購入は危険半導体製品のライフサイクルに関する考察(6)(3/4 ページ)

» 2022年10月20日 09時30分 公開
[Rochester ElectronicsEE Times Japan]

偽造半導体を購入しないために

 偽造品を購入するリスクを回避するためには、繰り返しになるが、オリジナル半導体メーカーより認定を受けている供給元からの購入が必須である。しかしながら、オリジナル半導体メーカーが対象の半導体を製造中止とした場合、いつか完成品在庫はなくなってしまうため、継続的に購入することは難しくなる。そこで、対象になる半導体そのものではないが、代わりに使用することができる半導体、いわゆる代替品がないかどうか探すことになる。この時、次のタイプの製品が見つかる。それは、「互換品」「複製品」「模倣品」の3つだ。この3つのタイプについて検証する。

1. 互換品
 オリジナル半導体メーカーが製造中止する場合は、製造中止案内(PDN)を発行する。この時、半導体によってはPDNに後継製品を記載している場合がある。この後継製品は、製品自体は違う型番だが、機能的、仕様的、ハードウェア的に互換性がある製品になっている。その場合は、その製品を評価し使えることが確認された後に認定作業を行って合格になれば、この後継製品を使用して継続的な生産を行うことができる。これとは別に、オリジナル半導体メーカーと競合している半導体メーカーから、その製品と同等の仕様を持つ置き換えを狙った半導体が、代替品として販売されている場合がある。この代替品については、製品仕様がまったく同じものや性能を向上させた製品などがある。製品型番が同じ製品もあれば、一部の製品型番が同じ製品やまったく違う型番の製品もある。半導体を使用して製品を製造している顧客では、製品型番が変わることを受け入れない場合もあるが、継続して製品を供給するための手段としては有効な手段といえる。

2. 複製品
 この複製品という言い方は、あまり良い意味では使われていないようだ。インターネット上で公開されている情報をみる限り、この複製品とは、対象となる半導体を正規ではない方法で入手し、その情報に基づいて製造された製品であるといわれている。最先端の半導体は、より複雑化しているために可能性としては少ないが、オリジナル半導体製品のチップを解析してリバースエンジニアリングという手法を用い、各マスクを読み取り複製して半導体を製造する手法で製造したものも複製品と呼ばれている。

3. 模倣品
 最後の一つが、模倣品と呼ばれるものだ。これはまず、オリジナル半導体製品のデータシートにある電気的仕様を抽出する。次に、各信号入力端子に対しどういった出力がどの端子からどういった種類の信号が出るのか、それにかかる時間はどの程度なのかなどを調べ、半導体の内部でどのような処理が行われているか関係なく、入出力のみが同じ製品を開発する。こうすると、見た目上は同じ動作をする製品が出来上がる。だが、例外処理時の対応やデータシートに記載のない機能や仕様については一切搭載されていない。また、長期間使用することを前提とした信頼性についても、オリジナル半導体製品の仕様に準拠しているわけではない。この模倣品はある意味、偽造品だといえなくもないが、こういった製品のことを模倣品と呼んでいる。

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