衛星とモバイル間の直接通信は、わずか1年余りで、サイエンスフィクションのような夢物語から、現実的な展望へと変貌を遂げた。AppleはGlobalstarと、T-MobileはSpaceXと共に、顧客が宇宙から届く信号に接続できるようにする計画に取り組んでいる。また、Amazonは、低軌道(LEO)衛星コンステレーション「Project Kuiper」を複数回打ち上げる準備を進めている。
衛星とモバイル間の直接通信は、わずか1年余りで、サイエンスフィクションのような夢物語から、現実的な展望へと変貌を遂げた。
AppleはGlobalstarと、T-MobileはSpaceXと共に、顧客が宇宙から届く信号に接続できるようにする計画に取り組んでいる。また、Amazonは、低軌道(LEO)衛星コンステレーション「Project Kuiper」を複数回打ち上げる準備を進めている。
AST SpaceMobileやLynx Globalなどのスタートアップ企業は、こうしたサービスを実現する通信衛星を正式に打ち上げる前から、世界中の複数のモバイルネットワーク事業者(MNO)と衛星と携帯電話間の通信契約を結んでいる。
一方、Googleは、地上ネットワークと軌道上の衛星間の通信を高速化する独自のソフトウェアプロジェクトに取り組んでいる。Googleは2022年9月、Aalyria Technologiesと呼ぶスタートアップ企業をスピンアウトし、地上のシステムと飛行機や宇宙空間に配備されたシステムを接続するネットワークオーケストレーションソフトウェアの開発に取り組んでいる。
こうした初期の宇宙通信プロジェクトの大半は、成層圏からの高速ブロードバンドリンクを提供するのではなく、地上のセルラーネットワークが存在しない荒野などでの緊急通話やメールに適した、低帯域の接続を提供する予定だ。
一部のユーザーは、携帯電話の個人利用のために衛星と携帯電話間の直接通信を望んでいるが、調査では、緊急時の接続を提供する必要性が示されている。例えば、T-Mobileによると、従来の無線ネットワークでは米国内の約20%の地域で通信できないという。
世界中にはまだ無線通信サービスが十分に提供されていない多くの国々がある。また、地球の70%以上は海に覆われており、標準的なセルラーネットワークではサービスを提供できない。特にラストワンマイルが大西洋のかなたという場合は、そのラストワンマイルにサービスを提供できるのは衛星だけだ。
米国の調査会社であるIDCのコネクティビティおよびスマートフォン向け半導体担当アナリスト兼リサーチディレクターを務めるPhil Solis氏は、米国EE Timesに対し、「これまでのところ、LEO衛星は携帯電話の直接通信サービスではなく、固定局および携帯局向けの高速衛星ブロードバンドサービスに利用されている。LoRaWANなどのネットワーク技術を利用したIoT(モノのインターネット)アプリケーション向けの衛星低電力広域ネットワーク(LPWAN)も登場し始めている」と述べている。
Globalstarとの契約により、Appleの「iPhone 14」ではSOS衛星接続が利用できるようになっている。T-Mobileは、2023年にSpaceXとLEO接続プログラムを開始する予定だ。衛星と携帯電話間の直接通信は今や現実のものとなっている。
Solis氏は「これは、まだ、携帯電話基地局のカバレッジを補完するためのものではなく、その目的は、緊急時の接続や、どこからでも通信できるテキスト機能の提供だ」と述べる。
Solis氏は、「これはまだ、セルラー基地局からのカバレッジを複製することを意図したものではなく、どこからでも通信できる緊急接続とテキストメッセージ機能を提供することを目的としている」と述べている。
もしくは、2022年8月末に開催されたSpaceXとT-Mobileの発表イベントでSpaceXのCEO(最高経営責任者)を務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏が語ったように、「世界中のどこにも携帯電話のデッドゾーンがないことを目指している」ものだ。
Solis氏は、「これは、デッドスポットの問題を解決するものだ。ハイキングや登山を中心とした観光が盛んな国の多くは、緊急電話をかけるための解決策を探していた。これがその答えだ」と述べている。
同氏は、「直接衛星サービスは、当面は簡単なテキストメッセージの送受信と通話ができる低速のデータレートのみを提供する可能性がある。とはいえ、アイダホ州中部にあるFrank Church-River of No Return Wilderness(米国本土48州最大の連邦政府が管理する自然保護区域)で救急サービスに連絡を取ろうとしている場合には、命の恩人になるかもしれない」と付け加えた。
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