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EdgeTech+ 2022 特集

長寿命、急速充放電できる小型リチウムイオン二次電池を展示ニチコンがEdgeTech+ 2022に出展

ニチコンは組み込み技術に関する展示会「EdgeTech+ 2022」(会期:2022年11月16〜18日、会場:パシフィコ横浜)で、長寿命かつ急速充放電ができる小型リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」を展示した。

» 2022年11月28日 14時30分 公開
[半田翔希EE Times Japan]

 ニチコンは組み込み技術に関する展示会「EdgeTech+ 2022」(会期:2022年11月16〜18日、会場:パシフィコ横浜)で、長寿命かつ急速充放電ができる小型リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」を展示した。

左=展示ブース/右=従来品との比較[クリックで拡大]

 SLBシリーズは電気二重層コンデンサー(EDLC)の持つパワー密度とリチウムイオン二次電池の持つエネルギー密度の両立を目指したものだ。会場ではデモ機を使って充放電を数サイクル行った後の放電容量維持率の変化などを紹介した。本製品は既にスマートフォン用のタッチペンや冠水監視システムなどで採用されているが、展示会での公開は今回が初めてだ。

左=データに基づくSLBシリーズの特長/右=採用事例:冠水監視システム[クリックで拡大]

 SLBシリーズは試験状況下(温度25℃、電圧範囲1.8〜2.8V、充放電レート10C、休止0秒)において、充放電25000サイクル後で放電容量維持率80%以上を維持できる。数千サイクルで放電容量維持率80%を下回る従来のリチウムイオン二次電池と比較して長寿命となっている。また、20Cの充放電特性を持つため3分間で全容量の約80%を充放電できる。加えて、5μAという微弱電流でも充電でき、エナジーハーベスト(環境発電)などの用途での使用にも向く。

 耐環境性能としては、マイナス30℃の低温環境下でも容量発現率50%を維持できる。上限使用温度は60℃までとなっているが、「数年以内に80〜85℃の環境下にも対応できるように研究開発を進めている」(同社)。また、圧壊、くぎ挿し、過充電などの試験に対しても破裂や発火は見られず、高い安全性能を持つとする。

 サイズは直径3.0mm、長さ7.0mmの小型品(容量0.35mAh)から、直径12.5mm、長さ40.0mmの中型品(同150mAh)まで複数あり、組み合わせて使うこともできる。

左=SLBシリーズの展示/右=組み合わせたイメージ[クリックで拡大]

 同社担当者は「昨今のリチウムイオン二次電池は極小のものや極大のものの開発が目立つが、今回のSLBシリーズはその間を埋めるサイズだ。今後は顧客の要望に合わせてサイズや性能を調整していく」と述べた。

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