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「会津は戦略的拠点」として積極的に投資、onsemi CEO生産能力の拡張も予定

onsemiの社長兼CEOを務めるHassane El-Khoury氏が、2022年11月に日本のメディア向けにオンライン記者会見を開催した。El-Khoury氏はこの1年を振り返り、「過去5四半期にわたり、過去最高の業績を達成した」と報告。併せて、売り上げを伸ばすだけでなく、生産体制の再構築を進めるなど組織基盤のスリム化にも取り組んだと述べた。

» 2022年12月12日 11時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 onsemiの社長兼CEOを務めるHassane El-Khoury氏が、2022年11月に日本のメディア向けにオンライン記者会見を開催した。

 El-Khoury氏はこの1年を振り返り、「過去5四半期にわたり、過去最高の業績を達成した」と報告。併せて、売り上げを伸ばすだけでなく、生産体制の再構築を進めるなど組織基盤のスリム化にも取り組んだと述べた。

onsemiの社長兼CEOを務めるHassane El-Khoury氏

 日本においては過去6四半期連続で過去最高の売上高を達成。日本の主要なテクノロジーリーダー企業と、日本での年間売上高の2倍以上となるLTSA(長期供給契約)を締結したことを明らかにした。ちなみに、onsemiの地域別売上高(2022年第1四半期ベース)の比率は、59%がアジアで18%が欧州、16%が北米、7%が日本である。

 日本市場に関しては今後、自動車の電動化、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転、マシンビジョン/FA(ファクトリーオートメーション)といった成長分野に注力すると語った。さらに、「インテリジェント(この場合モジュールとして提供するなど「使いやすさ」の意味)なパワーおよびセンシング製品の開発を通じて、これまでの成長実績の2倍の達成を目指す」と続けた。

 onsemiは、事業戦略として、自動車分野とインダストリアル分野に注力することを掲げている。ここで特に重要になるのがSiCパワーデバイスだ。El-Khoury氏は「SiCにおいてリーダーシップを確保するために、大々的な投資をしていく。とりわけSiCパワーデバイス技術のみならず、パッケージ技術の開発にも注力していく」と述べた。

onsemiの車載向け製品ポートフォリオ(左)と、インダストリアルのターゲット領域の例[クリックで拡大] 出所:onsemi

 El-Khoury氏は、ロームやドイツInfineon Technologiesなど、SiCパワーデバイスを手掛ける競合他社に比べ、onsemiの強みは「材料からデバイスレベルまで一気通貫して手掛けていること」だと話す。2021年には、SiCおよびサファイア材料を製造する米GT Advanced Technologies(以下、GTAT)を4億1500万米ドルで買収。これによってSiCウエハーを、より安定的に確保できる体制を整えている。

onsemiのSiC事業における戦略の概要。一気通貫で手掛けていること(エンドツーエンド機能)、デバイスとパッケージ技術で差別化を図ること(テクノロジーリーダーシップ)、幅広い製品として展開すること(ポートフォリオの広がり)、生産能力を拡大すること(スケーラブルキャパシティ)を挙げ、「勝利の組み合わせ」として紹介した[クリックで拡大] 出所:onsemi

会津拠点、積極的に投資

 もう一つ、onsemiにとって重要なのが、同社が2021年以降進めているファブライト化だ。2022年2月には、米国メイン州サウスポートランドの製造施設売却に関する正式契約の調印と、ベルギー・アウデナールデの工場の売却を完了したと発表。さらに同年12月2日には新潟工場(新潟県小千谷市)のJSファンダリへの売却を完了した。

 一方でEl-Khoury氏はこれまで、ファブライト戦略について「onsemiの生産能力を縮小するためではなく、必要なところに投資をして、全体としては能力を拡大していくことだ」と強調してきた。実際、会津工場(福島県会津若松市)については「戦略的拠点である」として、生産能力を拡張する他、今後数年間をかけて新しい技術を導入していくという。さらに、onsemiがGlobalFoundriesから取得した米ニューヨーク州イーストフィッシュキルの300mmウエハー工場の投資にも注力していくと語った。

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