I&SS分野は2022年度、為替の影響とスマートフォン向けイメージセンサーの増収によって、売上高が前年度比30%増(3258億円増)の1兆4022億円となった。販売数量は減少したもの製品ミックス改善によって、為替の影響を除いても1231億円の増収となっている。営業利益も、研究開発費や減価償却費、製造経費の増加があったものの為替と増収の影響から同36%増(566億円増)の大幅増益となっている。
2023年度通期の見通しについては、製品ミックスの改善および販売数量の増加から、売上高が前年度比14%増(1978億円増)の1兆6000億円と大幅増収になることを見込む。一方、営業利益については減価償却費および研究開発費増や製造経費の増加などから、同6%減(122億円減)の2000億円と、マイナス成長を見込む。同社社長の十時裕樹氏は、「前四半期のスマートフォン市場は中国を中心に前回決算時の想定から若干悪化した結果となった。2023年度の需要見通しも発射台が一段下がった想定で見積もらざるを得ない」と説明。2023年度の事業環境は非常に不安定という認識のもと、営業利益には上半期における需要低迷の継続を織り込んだことに加え、新製品の量産立ち上げにおける費用増のリスクも反映したとしている。
十時氏は2023年度のイメージセンサー市場の見通しについて、中国市場に関し、「流通在庫を見ると、2022年度第4四半期、2023年2月あたりに若干落ちたが、2023年3月にまた持ち上げ合っているという事実もあり、楽観視できない」と説明。また、一部ミドル/ローエンドのカメラ向けセンサーについても、「競合の在庫が非常に多く、かなり価格が崩れるのではないかと見立てをしている」とした。さらに、北米、アジアのスマホ市場について、特にハイエンド品をみると、「2022年度第4四半期に見ていた時より若干弱含んでいるのが、2023年度全体を通した見立てだ」とも言及。スマホ市場の回復時期について、「もしかしたら2024年度にずれ込むかもしれない」という見立てを示した。
一方で、「この厳しい環境にあっても当社は、モバイル機器向けセンサーの大判化や高画質/高性能化のトレンドをけん引しており、当社の1インチイメージセンサーを搭載した中国メーカーのフラグシップモデルが次々と市場に投入されている」と説明。世界イメージセンサー市場(金額ベース)における同社のシェアが前年度の44%から、2022年度に51%にまで伸長したことを強調した。
十時氏は、「難易度の高い差異化技術をしっかりと立ち上げ、高付加価値のリーディングポジションをさらに強固にすることで、最終製品市場の回復が本格化した段階で再度成長を加速できるような事業基盤を構築していく」と述べた。
なお、ウエハーベースの生産能力は2022年度第4四半期が設営ベースで月産13万3000枚(3カ月の平均値)、ウエハー投入枚数は1カ月当たり11万6000枚(同)だった。2023年度第1四半期は設営ベースが月産13万7000枚(同)、投入枚数は1カ月当たり12万7000枚(同)と見込んでいる。
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