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EUのAI規制法案が可決、「許容できない使用」を禁止生成系AIの透明性も要求(1/2 ページ)

欧州議会が、AI(人工知能)規制法案「AI Act」の草案を可決した。今話題の生成系AIについても、透明性の要件を順守すべきとする。欧州議会議長を務めるRoberta Metsola氏は「技術が進展する時は必ず、基本的権利と民主主義的価値との密接な連携が不可欠である」と強調した。

» 2023年06月26日 13時30分 公開
[Anne-Francoise PeleEE Times]

 欧州議会は、2023年6月14日(現地時間)に行われた本会議において、AI(人工知能)を規制する法案「Artificial Intelligence Act(AI Act)」の草案を過半数で可決した。欧州議会議員たちは、EUの価値観に沿ってAIリスクを管理したりAI利用を推進していくための、最初の包括的な一連の規則を採決したのだ。

 EUは、「デジタル化の10年間(Digital Decade)」におけるレジリエントな欧州の構築を支援すべく、AIに対する信頼ベースの方策を策定し、安全と基本的権利を保障しながら研究/産業能力を刺激していくことを目指すという。

 欧州委員会が2021年4月に発表したAIパッケージには、欧州がAI関連の取り組みを推進していく上でのコミュニケーションや、「人工知能に関する調整計画(Coordinated Plan on Artificial Intelligence)」の見直しの他、統一されたAI規則(AI Act)の策定に向けた規則提案と、それに対応する影響評価などが含まれている。

 欧州議会議長を務めるRoberta Metsola氏は、2023年6月14日に行われたプレスカンファレンスで、「イノベーションは進化をもたらし、新たな可能性を開いてくれる。われわれは立法者として、そのチャンスをつかむ必要がある。今こそ変化の時だ。低迷状態のままではいられないことを理解し、未来を恐れてはならない。AIに対して将来的に、持続的かつ明確な境界線や限界が必要とされるわけではないが、妥協できない点が1つある。それは、技術が進展する時は必ず、基本的権利と民主主義的価値との密接な連携が不可欠であるということだ。新たな精査の時代に突入した今、われわれはAIに対する無制限のアクセスを目の前にして、法律の制定方法や考え方などについて再考する必要がある。感情や意思、判断など、デジタル化が不可能なものは数多く存在する」と述べる。

 さらにMetsola氏は、AI Actについて、「この先間違いなく、国際基準とされる世界初の法律になるだろう」と述べ、人間を中心とするバランスのとれた手法を見つけ出すために要した時間や、今後必要とされる時間について、概要を説明している。

2023年6月14日に行われたプレスカンファレンスの様子。左から欧州議会議員/共同報告者のDragos Tudorache氏、欧州議会議長を務めるRoberta Metsola氏、欧州議会議員/共同報告者のBrando Benifei氏 出所:欧州議会

 最初に発生したイデオロギー論争は、OECD(経済協力開発機構)の定義に従い、欧州企業を他国の企業と対等の立場に置きながら、AIとは何かを明確に定義するためのものだった。

 欧州議会議員であり共同報告者を務めるDragos Tudorache氏は、「欧州議会は、AI開発者たちが、これらの技術標準規格がどのようなものかについて発言権を持つことができるよう、ボトムアップ方式の標準設定に関する明確な権限を与えている。それが、成長やイノベーションの課題をサポートすることになる」と述べている。

 またTudorache氏は、「欧州議会議員たちは、EUに対して、AI関連の法律制定を主導し、志を同じくする他の民主主義諸国と協業することで、技術進化の道標がどのように見えているのか、全ての関係者たちの取り組みと整合性が取れているのかという点について、国際舞台で確実に連携を取るよう求めている」と述べる。

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