Huffman氏は現在、データセンターエコシステム分野におけるGoogleの取り組みを主導する中で、半導体業界のダイナミクスが大きく変化するのを目の当たりにしているという。
同氏は、「かつては、サイロ化された手法で開発し、そこから何かを生み出すことができた。しかし、現在は物事が急激に変化しているため、コラボレーションの重要性がますます高まり、どこで差別化を図るべきかを戦略的に考えるようになってきている」と述べる。
「コラボレーションが重要なのは、主に、標準規格の開発に携わっているプレイヤー企業が、もはや単に半導体分野の企業だけに限られていないからだ。また、ソフトウェアメーカーやハイパースケーラーも、エコシステムをけん引する大きな影響力を持っている。例えば、2023年の『OCP Global Summit』では、同年10月のリリースを目指している『NVMe(Non-Volatile Memory express) 2.5』が発表された。Googleもこれに参加している」(Huffman氏)
また同氏は、「新機能の開発は、コラボレーションによる顧客主導型の取り組みでなければならない。顧客ごとに異なる機能セットを構築することは不可能だ。コストがかかりすぎる上に複雑化してしまうからだ。このためにGoogleやMicrosoft、Meta、Dell、HPなどのさまざまな企業が、明確化するために協業しているのだ」と述べる。
「生涯功労賞の候補になったことを知らされた時、非常に驚いた。自分1人で成し遂げられたことではなかったからだ。私は数多くの協力者たちに恵まれ、皆でエコシステムを前進させてきた。われわれが全員で協力して成し遂げた成果を見るのは、素晴らしいことだ」(Huffman氏)
Objective AnalysisのプリンシパルアナリストであるJim Handy氏は、同賞のプレゼンターを務めており、「フラッシュメモリサミットでは、技術を発明したり、重大な取り組みや企業を主導した人物だけでなく、フラッシュの成功を実現した人物にも栄誉を授ける。この中には、新しい標準規格や、他の人々によって始動した標準規格なども含まれる」と述べている。
「Huffman氏は、標準化においてそれを成し遂げた人物の、非常に素晴らしい例だといえる」(Handy氏)
Handy氏は、「Huffman氏が標準規格において達成した成果の最たる例は、フラッシュメモリチップの標準規格を定義すべく、2006年にNAND型フラッシュメモリの標準化団体『Open NAND Flash Interface(ONFI)Working Group』 の設立を共同で主導したことである。それ以前は、例えばSamsung Electronics製の部品を使用していた場合、同じソケットに東芝製の部品を使用することはできなかった。ただ単に全く互換性がなかったからだ」と述べる。
「たとえ同じベンダーにこだわったとしても、その最新部品に旧部品のソケットとの互換性がなければ、回路基板を設計し直さなければならない。ONFI規格は、こうした状況に終止符を打ち、全てのメーカーの部品が同じソケットで機能できるようにすることを明言したのだ」(Handy氏)
Huffman氏は、ONFIのワーキンググループの議長を務め、規格の定義や策定、推進などに携わった。ONFIのメンバー企業は、この規格を迅速に採用できた。また同氏は、業界全体に向けたONFI-JEDEC規格の確保にも貢献している。同規格はフラッシュメモリチップの低価格化において非常に重要であることが証明されている。
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