ディスコの2023年度第2四半期(7〜9月期)売上高は前四半期比34.0%増の722億円、営業利益は同65.2%増の280億円、純利益は同57.9%増の200億円だった。世界的なEVシフトや脱炭素化の進展を背景としたパワー半導体向けで強い需要が継続、市場動向と連動性が高い出荷額は794億円と高水準を維持している。
ディスコは2023年10月19日、2023年度第2四半期(7〜9月期)の決算を発表した。売上高は前四半期比34.0%増の722億円、営業利益は同65.2%増の280億円、純利益は同57.9%増の200億円だった。スマートフォンやPCなどの最終製品需要の減退によって量産用途向けが減少する一方、世界的な電気自動車(EV)シフトや脱炭素化の進展を背景としたパワー半導体向けは強い需要が継続、市場動向と連動性が高い出荷額は794億円と高水準を維持している。
GP率(売上総利益率)も68.4%と四半期ベースで過去最高を記録した。円安による好影響の他、継続して取り組んでいる改善活動を通じた顧客への付加価値創出などが寄与したとしている。なお、売上高は前年同期比では9.1%減、営業利益は同15.7%減、純利益は同18.7%減の減収減益となったが、同社は「前年同期は検収タイミングの偏りで売上高が非常に高水準だったことによるものだ」と説明している。
2023年度上期(4〜9月期)業績をみると、売上高は前年同期比9.3%減の1262億円、営業利益は同18.0%減の450億円、純利益は同19.6%減の327億円で減収減益となった。同社は「出荷水準は引き続き高いものの、高付加価値案件の増加に伴い検収が長期化し、売上高は減収となった。一方で、高付加価値案件の増加によって、収益性の面でポジティブな影響が現れている」と説明。上期のGP率は67.1%で過去最高を更新している。また、検収の長期化に伴い、出荷済みで未検収の案件が増加していることから「検収タイミングによっては下期にかけて売上高が進捗する可能性がある」との見方も示した。
前述の通り、2023年度第2四半期の出荷額は794億円と高水準を維持している。世界的なEVシフトなどを背景にグラインダー、ダイサーともに高水準の需要が継続するパワー半導体向けが下支えとなった。一方で、OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)向けを中心とした量産用途向けは引き続き低調だが、同社は「IDM(垂直統合型メーカー)や一部ファウンドリーのロジックで、R&Dよりの先端投資は比較的堅調に推移している」と説明している。この結果、高付加価値案件の比率が高まっているという。
また、消耗品である精密加工ツールの出荷額についても2022年度第4四半期(2023年1〜3月期)で底打ちした後、顧客の設備稼働率上昇などによって回復基調が継続している。
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