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脳の錯覚でゲーム機に革新、重さまで伝わるハプティクス技術AI活用で複雑な動きも実現(1/2 ページ)

村田製作所は「CEATEC 2023」に出展し、ゲーム機などに利用できるハプティクスデバイスや、生産/流通管理に利用できる透明IDタグを展示した。

» 2023年10月31日 11時30分 公開
[浅井涼EE Times Japan]

 村田製作所は「CEATEC 2023」(2023年10月17〜20日、幕張メッセ)に出展し、ゲーム機などに利用できるハプティクスデバイスや、生産/流通管理に利用できる透明IDタグを展示した。

手が勝手に動く? 脳の錯覚を利用したハプティクス技術

 村田製作所の子会社であるミライセンスが開発中の「次世代型3DHaptics誘導けん引デバイス」は、独自のハプティクス技術とセンサー技術を統合した触感体験ができるものだ。VR(仮想現実)機器やゲーム機などでの利用を想定しているという。

展示された「次世代型3DHaptics誘導けん引デバイス」 展示された「次世代型3DHaptics誘導けん引デバイス」[クリックで拡大]

 「説明の前にまずは触ってみてほしい」と促され、デモ機を体験した。両手用の2つのコントローラーが用意されていて、コントローラーと接続されたPCの画面上にも2つのコントローラーが表示されている。画面上のコントローラーをマウスで右や左に動かすと、それに合わせて手の中のコントローラーも右へ左へ、勝手に引っ張られるような感覚が伝わってくる。

画面上でコントローラーを動かすと、手の中のコントローラーにも動きが伝わる

 コントローラー内部に数個搭載されたアクチュエーターが特殊なパターンで振動することで、引っ張られているかのように脳が錯覚を起こす仕組みだという。引っ張られる/押されるといった並進力覚感のほか、ねじられる/ひねられるという回転力覚感などを体験することができる。コントローラーを動かすとその向きとは逆に引っ張られるような設定にすれば、抵抗感が手に伝わって重さを感じることもできる。

 「従来のVR空間では、映像がどれだけリアルになっても『見るだけ』だったが、動かしたり触ったりという体験もできるようになる」(ブース担当者)

 意図した通りに脳の錯覚を起こさせるような振動パターンを設計することは容易ではないが、AI(人工知能)を活用することで複雑な制御が可能になったという。

 エンターテインメント用途以外には、外科手術や原子力発電所の運転など、危険を伴う作業の訓練にも活用を見込んでいるという。別のコントローラー同士で動きを同期させれば、指導する側の動きを指導される側の手に伝えることもできる。

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