今回は、米Western Digital(WD)の2024会計年度第1四半期(2023年7月〜9月期)の業績を紹介する。
ハードディスク装置(HDD)の大手ベンダーである米Seagate Technology(以降はSeagateと表記)と米Western Digital(以降はWDと表記)が、四半期の業績を相次いで公表した。発表日(現地時間)はSeagateが2023年10月26日、WDが同年10月30日である。そこでSeagateとWDの四半期業績を続けてご報告する。前回はSeagateの業績概要を紹介した。今回はWDの業績概要をご報告する。
WDの会計期間はSeagateと同様に7月から始まり、6月を決算月とする。10月30日に同社が発表したのは2023年7月〜9月期の四半期業績で、会計年度では「2024会計年度第1四半期(Q1FY24)」となる。
WDはHDDの大手ベンダーであるとともに、フラッシュメモリ応用品の大手ベンダーでもある。HDD事業とフラッシュメモリ事業の売り上げ比率は若干の変動はあるものの、おおむね半分ずつを占める。本稿では両方の事業について、四半期業績の発表資料から説明する。
2024会計年度第1四半期(2023年7月〜9月期)の売上高は、27億5000万米ドルとなった。前四半期比(前期比)3%増、前年同期比26%減である。前期比は5四半期ぶりに上昇に転じた。
HDD事業の売り上げは前期比7.8%減の11億9400万米ドルである。2四半期連続のマイナス成長となった。フラッシュメモリ事業の売り上げは同13.0%増の15億5600万米ドルである。2四半期連続で前期比が増加した。
2024会計年度第1四半期(2023年7月〜9月期)の営業損益は、Non-GAAPベースとGAAPベースともに赤字が続く。同四半期の営業損失はNon-GAAPベースが4億4300万米ドル、GAAPベースが5億9600万米ドルである。前の四半期はそれぞれ4億7800万米ドル、6億5000万ドルだったので、赤字の金額は減少した。
2024会計年度第1四半期(2023年7月〜9月期)の粗利益率は、Non-GAAPベースとGAAPベースのいずれも0.2ポイント上昇し、それぞれ4.1%、3.6%となった。
応用分野別の売り上げを見ていこう。WDは売り上げを3つの分野に分けて公表している。すなわち、「クラウド(Cloud)」(パブリックあるいはプライベートのクラウド向け)、「クライアント(Client)」(直接販売、あるいは代理店経由の販売によるOEM向け)、「コンシューマー(Consumer)」(リテールそのほかの販売チャンネルによる一般消費者向け)、の3つである。
「クラウド」分野の売上高は前四半期比(前期比)12%減、前年同期比52%減の8億7200万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は32%で前期から5ポイント低下した。前期に続いてデータセンター向けニアラインHDDの販売が不調だった。
「クライアント」分野の売上高は前四半期比(前期比)11%増、前年同期比7%減の11億4700万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は42%で前期から3ポイント上昇した。フラッシュメモリ製品の売上高がビット換算で伸びた。
「コンシューマー」分野の売上高は前四半期比(前期比)14%増、前年同期比8%増の7億3100万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は36%で、前期から2ポイント上昇した。フラッシュ搭載装置1台当たりのフラッシュメモリ搭載量が増加したことと、装置の出荷台数が増えたことが、売上高の拡大に寄与した。
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