ロームは2023年11月7日、ソーラーフロンティア旧国富工場(宮崎県国富町)の取得を完了した。今後、8インチのSiCウエハー対応ラインを構築し、SiCパワー半導体生産の主力工場として活用する方針で、SiC基板も生産する予定だ。
ロームは2023年11月7日、ソーラーフロンティア旧国富工場(宮崎県国富町)を取得完了したと発表した。8インチのSiCウエハー対応ラインを構築し、SiCパワー半導体生産の主力工場として活用する方針。また、SiC基板も生産する予定だ。
ロームは2023年7月12日、ソーラーフロンティアと、同社がかつてCIS薄膜太陽電池を製造していた同工場を取得することで合意したと発表していた。なお、取得金額は明かしていない。今回取得が完了したことで、ロームは同工場を製造子会社ラピスセミコンダクタの「宮崎第二工場」として整備/運営していくという。
同工場の土地面積は約40万m2、建物面積は約23万m2で、このうち約11万5000m2の生産棟で、主にSiCパワー半導体の生産を行っていく予定だ。ロームは、「既存建物やクリーンルームを活用することで早期立ち上げが可能で、2024年末に一部の工程での稼働開始を目指す」としている。なお、同社は2023年11月2日に実施した2023年度第2四半期決算発表で、宮崎第二工場を8インチSiCウエハー対応工場としてSiCデバイス生産を行うことに加え、SiC基板も生産する方針を明かしていた。
ロームは、2027年度のSiCパワー半導体事業の売上高目標を2700億円以上とし、2021〜2027年度までに5100億円を投資する計画を立てている。2022年12月にはローム・アポロ筑後工場(福岡県筑後市)の新製造棟で量産を開始した。この新製造棟では全て6インチから8インチウエハーに変換可能な製造設備を導入していて、今後8インチへの移行によって規模を拡大していく方針。2025年度にはロームのSiCパワー半導体生産能力は、2021年度比6.5倍となる見込みとしている。今後、さらに宮崎第二工場の生産能力が加わることで、2030年度には2021年度比35倍にまで生産能力が拡大できるという。
ロームは今回の工場取得完了に際し「ロームグループは、今後も市場の状況をとらえながら、中期経営計画に基づいた生産能力の強化を進めるとともに、BCM(事業継続マネジメント)対策を徹底し、顧客への安定供給に努めていく」とコメントしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.