ローム、EV用SiC供給で7年1300億円の長期契約獲得 : ドイツ自動車部品大手と
ロームとVitesco Technologiesは2023年6月19日、EV(電気自動車)向けSiC(炭化ケイ素)パワーデバイスの長期供給契約を締結した。取引額は、2024年から2030年までの7年間で1300億円以上になる見込みだ。
ロームとVitesco Technologies(以下、Vitesco)は2023年6月19日、SiC(炭化ケイ素)パワーデバイスの長期供給契約を締結した。EV(電気自動車)の開発や効率化に向けた契約で、取引額は、2024年から2030年までの7年間で1300億円以上になる見込みだ。
画像左から、ローム 取締役 常務執行役員 CFO 伊野和英氏、Vitesco Technologies CEO Andreas Wolf氏[クリックで拡大] 出所:ローム/Vitesco Technologies
Vitescoは、ドイツに本社を置き、モビリティ向けの最先端ドライブシステムや電動化ソリューションを開発/製造する国際的な大手メーカーだ。両社は、2020年から「電気自動車向けパワーエレクトロニクスにおける開発パートナーシップ」を締結し、共同でEVに最適なSiCパワーデバイスおよびSiC搭載インバーターを開発している。2024年には、共同開発の最初の成果として、ロームのSiCチップを搭載したインバーターの供給を開始する予定だ。同インバーターは既に、自動車大手2社のEVへの採用が決まっている。
今回の長期供給契約の締結に当たり、Vitesco CEO(最高経営責任者) Andreas Wolf氏は、「今回の契約締結は、VitescoのSiC生産能力を確保するための重要な基盤となる。今までの開発協力関係を継続するだけでなく、さらに強化していく」とコメントしている。
ローム 取締役 常務執行役員 CFO 伊野和英氏は、リリースで「高成長を続けているEV市場において、SiCパワーデバイスは、高効率化を実現する重要な技術だ。Vitescoと今まで以上の協力関係を築けたことで、市場シェア30%以上の獲得も期待できると考えている」と述べている。
ロームがGaNパワー半導体で急加速、SiCに続く軸に
ロームが、GaNパワー半導体の展開を急加速している。同社は、パワーエレクトロニクスの国際展示会「PCIM Europe 2023」においてGaN製品を大きくアピールし、SiCを含めたWBG(ワイドバンドギャップ)市場での拡大に向けた意欲を示していた。
TSMCの3nmノード向けインターコネクト技術、Marvell
Marvell Technologyは、TSMCの新しい3nmプロセス適用のD2Dシリコンインターコネクトを開発している。同社は、最大240Tビット/秒(bps)のデータ伝送速度を実現し電力性能やコスト最適化を可能とするこの技術を、データセンターや車載分野向けに提供していく方針だ。
ルネサスとニデックが次世代E-Axleで協業へ
ルネサス エレクトロニクスとニデックは、EV(電気自動車)向けのE-Axleの半導体ソリューションでの協業に合意した。ニデックのモーター技術とルネサスの半導体技術を掛け合わせ、業界最高水準となる次世代E-Axleの実現に向け、PoC(概念実証:Proof of Concept)の共同開発を目指す。
パワー半導体市場、2030年に約370億ドル規模へ
パワー半導体の世界市場は、2022年見込みの238億9000万米ドルに対し、2030年は369億8000万米ドル規模に達する見通しである。このうち、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体が17.4%を占める。矢野経済研究所が予測した。
東芝が語る、車載半導体の最新技術動向
東芝は2023年5月、車載半導体への取り組みに関する説明会を実施した。説明会では、担当者がSiCを含むパワー半導体やモーター制御ICなど、同社の注力領域に関する技術動向を説明した。
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