ローム、宮崎にSiCパワー半導体の新工場開設へ：主力生産拠点に

ロームが、SiCパワー半導体の新工場を宮崎県に開設する計画を発表した。ソーラーフロンティアの旧国富工場を取得する予定で、同社の主力工場として2024年末の稼働開始を目指す。

[永山準，EE Times Japan]

　ロームは2023年7月12日、SiC（炭化ケイ素）パワー半導体の生産能力拡大に向け、ソーラーフロンティアの旧国富工場（宮崎県国富町）を取得すると発表した。取得時期は2023年10月末を予定。主にSiCパワー半導体を生産する同社の主力工場として活用する方針だ。2024年末の稼働開始を目指す。なお、取得費用は公開していない。

新生産拠点の概要［クリックで拡大］ 出所：ローム

　ロームが取得することで基本合意したのは、ソーラーフロンティアがかつてCIS薄膜太陽電池の製造を行っていた旧国富工場だ。同工場はソーラーフロンティアの太陽電陽電池生産撤退に伴い、稼働を停止している。同工場の土地面積は約40万m²、建物面積は約23万m²で、このうち約11万5000m²の生産棟で、主にSiCパワー半導体の生産を行っていく予定。ロームは、既存建物やクリーンルームを活用することで、早ければ2024年末の稼働を目指すとしている。なお、事務所や物流倉庫、研究開発拠点などの一部敷地／建物はソーラーフロンティアが継続利用（賃借）するという。

2030年度には生産能力を35倍に

　ロームは、2027年度のSiCパワー半導体事業の売上高目標を2700億円以上とし、2021〜2027年度までに5100億円を投資する計画を立てている。2022年12月にはローム・アポロ筑後工場（福岡県筑後市）の新製造棟で量産を開始し、徐々に規模を拡大していて、2025年度にはロームのSiCパワー半導体生産能力は、2021年度比6.5倍となる見込み。同社によると、今回取得する旧国富工場の新生産棟の生産能力をさらに追加することで、2030年度には2021年度比35倍にまで生産能力が拡大できるという。

SiCパワー半導体の生産能力増強計画［クリックで拡大］ 出所：ローム

　なお、ロームは2025年度に向け8インチウエハーラインでのSiCパワー半導体生産に移行していく予定で、筑後工場の新製造棟では全て6インチから8インチウエハーに変換可能な製造設備を導入している。同社は、旧国富工場においても、「8インチウエハー対応の製造設備導入をと考えている」としている。