東邦大学と名古屋大学の研究グループは、ナノカプセル内に複数個の金ナノ粒子を閉じ込めて、ナノ物質による三次元構造を作り出す技術を開発したと発表した。高感度マルチカラーセンサーの開発などに応用できるという。
東邦大学の繻エ彰太准教授と名古屋大学の繻エ真人准教授らによる研究グループは2023年10月、ナノカプセル内に複数個の金ナノ粒子を閉じ込めて、ナノ物質による三次元構造を作り出す技術を開発したと発表した。高感度マルチカラーセンサーの開発などに応用できるという。
金ナノ粒子の高次構造体を構築する場合、金ナノ粒子同士の接触確率が低いことや、接触方向に制限があるため、金ナノ粒子で立体構造を構築することは、極めて難しいといわれてきた。
研究グループは今回、メゾ多孔質のシリカ殻を持つサブミクロンサイズのシリカカプセル内に複数個の金ナノ粒子を閉じ込めることで、金ナノ粒子の接触確率を高めた。また、三次元方向から金ナノ粒子同士が接触できる空間を作り出した。こうした方法を用いることで、金ナノ粒子による三次元構造を構築することに成功した。
研究グループは、透過型電子顕微鏡を用いて、金ナノ粒子で構成された三次元構造がシリカカプセル内に作り出されていることを確認した。実験で得られた画像から推測し、電子エネルギー損失分光(STEM-EELS)マッピングに関する計算を行った。その結果、外部から入射する電磁場のエネルギーに依存して、異なるプラズモンモードが発生。三次元構造のプラズモンモードが変化すると、それに合わせてホットスポットの位置も変化することが分かった。
金ナノ粒子の三次元構造では、三次元上のさまざまな場所に、異なるプラズモンモードが発生する。このことから、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)による光増強効果と組み合わせれば、多色の光を使った高感度センサーに応用できるとみている。異なる位置に検出対象となるさまざまな分子を修飾すれば、検出に用いる光の波長を変えるだけで異なる分子を一度に検出できるという。
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