名古屋大学の研究グループは、東京大学物性研究所と共同で、ノーダルライン半金属と呼ばれるトポロジカル物質において表面超伝導を発見した。
名古屋大学大学院工学研究科の矢野力三助教と柏谷聡教授らの研究グループは2023年11月、東京大学物性研究所の岡本佳比古教授らと共同で、ノーダルライン半金属と呼ばれるトポロジカル物質において表面超伝導を発見したと発表した。
研究グループは今回、CaAgP(カルシウム銀リン化物)にPd(パラジウム)を少量添加した「Pd-CaAgP」を実験で用いた。この物質は、ディラック点と呼ばれる直線バンドの交差点が、フェルミレベル近傍でリング状につながった電子構造となっている。この物質は、フラットバンド表面状態が形成されることや超伝導を発現することが、理論解析によって既に分かっていたという。
今回の実験では、電気2重層トランジスタを用いた電気輸送測定を行った。これにより、最大105cm2/Vsという極めて高い移動度を有する電子キャリアが表面層に局在し、物質内部とは異なる表面状態であることを確認した。トンネル分光法により、発現した超伝導が表面層に存在することも見極めた。
さらに、観測できた超伝導ギャップ構造は、ゼロバイアス・コンダクタンスピークというスペクトル形状であった。これにより、表面超伝導は非従来型超伝導性を有していることが分かった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.