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超伝導量子コンピュータ国産2号機、企業と連携で用途開拓へ富士通と理研が共同開発(1/2 ページ)

富士通と理化学研究所は、新しい64量子ビット超伝導量子コンピュータを発表し、実機を公開した。同機はアプリケーション開拓に向けた利用を想定している。

» 2023年12月05日 14時30分 公開
[浅井涼EE Times Japan]

 富士通と理化学研究所(以下、理研)は2023年10月5日、新しい超伝導量子コンピュータを発表し、実機を公開した。同機は、理研が2023年3月に公開した国産1号機である超伝導量子コンピュータに続く国産2号機となる。

富士通と理研が発表した国産2号機となる超伝導量子コンピュータ 富士通と理研が発表した国産2号機となる超伝導量子コンピュータ[クリックで拡大]

超伝導量子コンピュータの内部構造をプロジェクションマッピングで投影 超伝導量子コンピュータの内部構造をプロジェクションマッピングで投影[クリックで拡大]

 また、富士通と理研は、超伝導量子コンピュータと従来のコンピュータ上の量子コンピュータシミュレーターを連携させて利用できるプラットフォーム「Fujitsu Hybrid Quantum Conputing Platform」も開発した。2023年10月5日から企業や研究機関に提供を開始している。

国産2号機はアプリケーション開拓に向けて利用

量子ビットチップ 量子ビットチップ[クリックで拡大]

 発表された国産2号機は、64量子ビットチップを用いている。量子ビット数は1号機と同等だが、改良によって1号機の発表時よりも性能が向上したという。ただし、1号機も発表後に改良を続けているため、富士通と理研は1号機と2号機に性能の差はないとしている。

 筐体内部にはHEMT(高電子移動度トランジスタ)増幅器、高周波フィルター、極低温増幅器があり、量子ビットチップは電磁場遮断シールド内に設置されている。内部は複数の冷却ステージがあり、温度は上部から順に50K、4K、1K、100mK、20mKとなっている。

 特徴的なのは、量子ビットチップを下向きに設置して配線を裏側から通す3次元コンタクト構造だ。一般的に量子ビットチップの配線は横から通すことが多いが、その場合はスケールアップの際に設計を変えなくてはいけない。配線を裏側から通せば、同じ設計のまま1000量子ビット超まで拡張可能だという。

64量子ビット超伝導量子コンピュータの内部構造3次元コンタクト構造について 左=64量子ビット超伝導量子コンピュータの内部構造/右=3次元コンタクト構造について[クリックで拡大] 出所:富士通/理研
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