ソニーグループのイメージング&センシングソリューション分野の2023年度第3四半期(10〜12月)業績は、売上高が前年同期比21%増の5052億円、営業利益は同18%増の997億円で、いずれも過去最高を更新した。スマートフォン市場の回復およびハイエンド商品への大判センサー導入が進展したことなどから、大幅な増収となった。
ソニーグループ(以下、ソニー)は2024年2月14日、2024年3月期(2023年度)第3四半期(10〜12月)決算を発表した。イメージング&センシングソリューション(I&SS)分野の売上高は前年同期比21%増の5052億円、営業利益は同18%増の997億円で、いずれも過去最高を更新した。調整後OIBDA※)も同22%増の1637億円だった。スマートフォン市場の回復およびハイエンド商品への大判センサー導入が進展したことなどから、大幅な増収となった。
ソニーが2023年度の最重要課題とするモバイル向けイメージセンサー新製品の歩留まり改善については、同社執行役員財務/IR担当の早川禎彦氏は「前回見通し(2023年11月)で想定した改善のカーブに乗って進捗している」と述べた。損益への影響についても、前回見通しから変更はないとした。同社は前回見通しにおいて、この歩留まり問題が、2023年度通期の営業利益の見通しを「5%(約350億円)前後押し下げている」と説明している。
※調整後OIBDA(Operating Income Before Depreciation and Amortization):営業利益と減価償却費および償却費(コンテンツ資産に含まれる繰延映画製作費、テレビ放映権、自社制作のゲームコンテンツおよび原盤制作費、繰延保険契約費の償却費を除く)からソニーグループが非経常的と判断する損益を除いた指標。
I&SS分野の売上高は、スマホ市場の回復およびハイエンド商品への大判センサー導入が進展、販売数量増および製品ミックス改善があったことに加え、為替のプラス影響も196億円分あり、前年同期比880億円増の大幅増収となった。営業利益も、モバイル向けイメージセンサーの新製品の量産立ち上げにおける費用増や減価償却費の増加があったものの、増収や為替のプラス影響から、同149億円増の増益となった。減価償却費の増加を含まない調整後OIBDAでは、同290億円増と大幅増益になっている。
早川氏は、前年比でマイナス成長を続けていたスマホ市場について「当四半期でいったん底を打ったとみている」とした。ただし、北米市場がいまだ前年割れを継続しているなど、「先行きの不透明感を完全に払拭するには至っていない」という。こうした中で第3四半期は大幅な増収で着地したが、同社は、引き続き製品市場の動向や在庫状況などを注視しながら、当面は慎重な事業運営を継続していく方針だ。
また、モバイル向け以外のセンサー事業については、特に産業/社会インフラ向けのセンサー市場の回復の遅れが顕著といい、第4四半期は生産調整を進め、在庫の適正化を図るという。
ウエハーベースの生産能力は、2023年度第3四半期が設営ベースで月産15万4000枚(3カ月の平均値)、ウエハー投入枚数は1カ月当たり13万8000枚(同)だった。2023年度第4四半期は設営ベースが月産15万4000枚(同)、投入枚数は1カ月当たり14万1000枚(同)と見込んでいる。
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