2023年度を最終年度とする現中期経営計画におけるI&SS分野の売上高は円ベースで年平均22%、ドルベースでは年平均8%の成長となる見込みだ。また、同社は今回、同分野の2024年度以降の展望についても言及。早川氏は「モバイルセンサーの大判化および高付加価値化は着実に軌道に乗せることができていて、次期中期計画期間においても事業成長を継続できると考えている」と述べた。一方、市場環境などから売り上げが想定通りに伸びない中、設備投資などで製造費用が大きく上昇していることや、歩留り悪化などによる生産オペレーションロスが、今後のさらなる収益改善に向けての課題としている。
I&SS分野の利益率改善についてソニーグループ社長の十時裕樹氏は「今まではどちらかというと投資とR&D先行で、それが売り上げから十分リクープできていないことが問題点としてあった」と語り、今後はオペレーションロスの最小化および、投資のマネジメントによって成長機会とコストのバランスをとることが重要だとした。
また、成長をけん引してきたモバイル向けイメージセンサーの大判化および多眼化については、これまでトレンドの加速に応じ生産キャパシティーの拡大を進める必要があったが、十時氏は「大判化、多眼化はどんどん進むというより、むしろそれを維持して高機能化する方向に振られている」との現在の見解を示し、「高機能化するセンサーをどれだけプロセスを冗長にせず作れるかがチャレンジで、それができればマージンが上がっていくのではないかと思っている」とも述べた。
なお、次期中期計画期間のイメージセンサー設備投資については、「これまで先行して増強してきた生産能力と戦略在庫も生かし、新規投資の最適化を進める」と説明。十時氏は「既存生産設備と戦略在庫を最大限に生かすことで、現中期計画期間の7割から8割程度に抑えられるのではないかと現時点では想定している」と述べた。
第3四半期のグループ全体の業績をみると、売上高はI&SS分野の増収のほか、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野や、音楽分野、映画分野、金融分野で大幅増収となったことから、前年同期比22%増の3兆7475億円となり、四半期実績として過去最高を記録した。営業利益は同10%増の4633億円、純利益は同13%増の3639億円だった。
ソニーは今回、2023年度通期業績見通しを修正した。売上高は前回(2023年11月)から1000億円減の12兆3000億円とした一方で、営業利益は同100億円増の1兆1800億円、純利益は同400億円増の9200億円とした。
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