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米CHIPS法の理想と現実 強まる「政治色」への懸念も台湾への過度な依存は改善できず?(1/2 ページ)

米国の半導体産業支援策である「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)が、現実に直面し始めている。専門家は「CHIPS法の補助金は、台湾に対する米国の過度な依存を改善することはできないだろう」と述べている。2024年11月に米大統領選を控え、CHIPS法が政治的な困難に直面しているとみるアナリストもいる。

» 2024年03月04日 11時30分 公開
[Alan PattersonEE Times]

IntelとMicronが補助金を獲得か

米国の国旗 画像はイメージです

 アナリストたちは米EE Timesのインタビューで、「米国の半導体メーカーであるIntelとMicron Technology(以下、Micron)は2024年に、『CHIPS and Science Act』(CHIPS法)の補助金520億米ドルの大部分を獲得する見込みだ。2024年の大統領選挙が近づく中、バイデン大統領はこの補助金で、雇用を創出し、長年にわたるオフショアリングを経て半導体製造の米国回帰を実現できるとアピールすることができるだろう」と語った。

 またアナリストによると、アジアの半導体メーカーであるTSMCとSamsung Electronicsも、CHIPS法の補助金獲得を狙うトップ4社の中に入っているが、両社は優先順位リストの下位にあるという。それは米国政府が、外国企業に補助金を提供していると認識されることを避けたいからだ。

 CHIPS法の補助金の主な目的は、アジアからの半導体チップ輸入に対する米国の依存度を大幅に下げることだ。しかし、Albright Stonebridge Groupで技術企業のアドバイザーを務めるPaul Triolo氏は、「米国政府のプログラムが、業界を支えるサプライヤーの国内エコシステムの構築をサポートできるとは思えない」と述べている。

 「2030年までに世界半導体製造の米国のシェアを20〜30%に拡大するというのは、かなり野心的だ。それでも米国は、ウエハーや材料、そして最も重要であろう先進パッケージングを、アジア中心のサプライチェーンに大きく依存した状態が続くだろう。Intelが米国ニューメキシコ州の工場で、同社の3次元パッケージング技術『Foveros』プロセスを適用することで、2026〜2027年には米国拠点の先端パッケージング生産工場が一部稼働を開始する予定だ。だが、TSMCとSamsungの米工場で生産された製品はほぼ全て、パッケージングに関しては、当面の間アジアに送り返され(アジアの後工程工場で対応され)ることになるだろう。高性能GPUと同じくらい複雑な製品の生産をオンショアリングすることの課題が浮き彫りになる」(Triolo氏)

 米商務省のCHIPS Program Office(CPO)はこれまでに、英国の防衛最大手BAE Systemsに3500万米ドルの資金を提供することを決定している。同社は、統合打撃戦闘機『F-35』向けの部品を製造する、米ニューハンプシャー州の既存の半導体工場を拡充するという。またCPOは、Microchip Technologyに1億6200万米ドルを提供することで合意し、防衛機器にも使われている同社製マイコンの米国での生産を後押しする。

 商務省は2024年2月、GlobalFoundriesにCHIPS法の補助金として15億米ドルを提供することで暫定合意した。米国国内のサプライチェーンのレジリエンスを強化し、既存世代および成熟ノードの製造における米国の競争力を高めていきたい考えだとしている。

 IntelのCEO(最高経営責任者)であるPat Gelsinger氏は、520億米ドルの大部分を獲得すべく米国政府に働きかける一方で、世界最大の半導体市場である中国への売り上げを抑制している輸出規制を緩和するよう要請してきた。Intelは、売上高全体の3分の1を中国に依存している。またBloombergの報道によると、Intelは最近、米国政府に対して100億米ドル超の補助金支給を求めているという。

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