富山大学は、富山県立大学や中越合金鋳工との共同研究により、マグネシウム蓄電池に用いる負極材料について、短い時間で極薄かつ広幅、長尺品の作製が可能であることを示した。
富山大学学術研究部都市デザイン学系の附田之欣助教は2024年3月25日、富山県立大学や中越合金鋳工との共同研究により、マグネシウム蓄電池に用いる負極材料について、短い時間で極薄かつ広幅、長尺品の作製が可能であることを示した。
スマートフォンやノートPCなどの携帯機器では、主にリチウムイオン電池が搭載されている。ただ、材料のリチウムは産地が限定され供給面で課題が残されている。安全面でも十分に配慮する必要がある。そこで注目されているのがマグネシウムである。資源的に豊富であり、比較的安価なためだ。
研究グループは、単ロール式急冷凝固法を用い、高速かつ大気中でMg-Al-Ca系合金の薄帯を作製することに成功した。5秒という短い噴射時間で厚み0.1mm、幅80mmで長さが80mという連続薄帯を、90%以上の高い歩留まりで実現した。溶解重量は1kgである。特に今回は、材料にカルシウムを数%添加することで難燃性を高め、特別なチャンバーなどを不要にしたという。
研究グループは、薄帯寸法形状の安定化と欠陥の低減、集電体との積層化(クラッド化)による特性の改善、リサイクル材への適用による低コスト化、などが可能になるとみている。
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