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GDDR7 DRAMはAI用途でHBMの「代替品」として飛躍する可能性も生成AIの普及でHBMの需要が増す中(1/2 ページ)

JEDEC Solid State Technology Associationは2024年3月に、次世代グラフィックス製品向けのメモリ規格「GDDR7」の仕様策定を完了したと発表した。生成AI(人工知能)の急速な普及に伴い、HBM(広帯域幅メモリ)の需要が大幅に増加する中、GDDR7がHBMの“代用品”になる可能性があると関係者は語る。

» 2024年05月23日 11時30分 公開
[Gary HilsonEE Times]

 最近のAI(人工知能)の進歩は革命的に見えるかもしれない。さらに、米国の電子部品関連標準化団体「JEDEC Solid State Technology Association(以下、JEDEC)」は、GDDR(Graphics Double Data Rate)規格のAIアプリケーションへの使用が増加する中でも、同規格の進化的アプローチを維持している。

 JEDECのGDDR分科会のチェアマンを務めるMichael Litt氏は米国EE Timesとのブリーフィングで、「GDDR7は、消費電力を抑えながら帯域幅と容量を倍増させるという世代間の伝統を引き継いでいる。われわれは、進化的かつ革命的なアプローチを検討した。これが、JEDECがいつも最初に行うことだ」と語った。

 Litt氏は、「JEDECが選択する道は、業界関係者に大きく影響される」と言う。同氏は、「われわれは常に、進化的アプローチを維持したいと考えてきた。現在JEDECがサポートしている市場を支えなければならないからだ。AIアプリケーションによる利用が増えている一方で、グラフィックスとゲームはGDDR7にとって引き続き重要なセグメントである」と語った。

 「たとえ革命的な飛躍が可能だとしても、業界がそれを活用できない可能性が高い。一方で、GDDRの進化に伴って、インタフェースのスケーリングなど、克服しなければならない壁があった。JEDEC仕様の成功のカギは、“力量を超えること”に手を出さないことだ。われわれは可能な限り進化し続けようとしている」(Litt氏)

 GDDR7は、帯域幅がGDDR6の2倍になり、デバイス当たりの最大通信速度は192GB/秒に達する。GDDR7では、独立チャネル数がGDDR6の2つから4つに倍増する。

PAM3インタフェースを採用

 GDDR7はJEDEC規格のDRAMとしては初めて、高周波動作にPAM(パルス振幅変調)インタフェースを使用する。PAM3インタフェースを使用すると、エネルギー効率を高めながら、高周波動作のS/N比を向上させることができる。PAM3はサイクル当たりのデータ伝送速度が高いため、従来のNRZ(Non-Return-to-Zero)インタフェースよりも性能が向上する。

GDDR7でのPAM3エンコーディングへの移行は、GDDR6からの最大の技術的変更である GDDR7でのPAM3エンコーディングへの移行は、GDDR6からの最大の技術的変更である。GDDR6は、NRZ(PAM2)インタフェースを使用し、実質的に24ギガビット/秒(Gbps)が限界だった 出所:Rambus

 「新しいインタフェースはGDDR7にとって理にかなっていた。われわれは、より広いヘッドルームを備えたものを探していた」とLitt氏は言う。

 GDDR7は、リアルタイムレポート機能付きオンダイエラー訂正コーディング、データポイズン、エラーチェックおよび、スクラブ、コマンドブロッキング機能付きコマンドアドレスパリティ(CAPARBLK)などの最新のデータ整合性機能を組み込むことで、信頼性/可用性/保守性(Reliability, Availability, Serviceability:RAS)に対する業界のニーズに対応する。

 Litt氏は、「RAS機能には、他の機能と同じく最優先事項であるセキュリティも含まれている。セキュリティは今後、さらに重要になるだろう」と述べる。

 同氏によると、現在の経済性とエコシステムを維持することに主眼を置いているが、よりHBM(広帯域幅メモリ)に近いオンパッケージアプローチも検討しているという。

 HBMは第3世代であるにもかかわらず、依然として実装が複雑で、価格も安くはない。さらに、Micron Technologyのような企業がHBM3を提供し始めたため、一部のAIワークロードにとってGDDRが実行可能な代替品となる可能性がある。

 RambusのシリコンIP(Intellectual Property)製品マーケティング担当シニアディレクターを務めるLou Ternullo氏はEE Timesのインタビューで、「選択肢の評価に関心を持っている顧客が増えている」と述べている。

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