RapidusのCEO(最高経営責任者)である小池淳義氏は、米国EE Timesのインタビューに応じ、2025年4月に2nm世代半導体製造のパイロットラインを稼働予定であると語った。Rapidusを訪問したアナリストによると、TSMCとSamsung Electronicsの新たな競合となるRapidusには、この先まだ大きな障壁が立ちはだかっているという。
RapidusのCEO(最高経営責任者)である小池淳義氏は、米国EE Timesのインタビューに応じ、2025年4月に2nm世代半導体製造のパイロットラインを稼働予定であると語った。Rapidusを訪問したアナリストによると、TSMCとSamsung Electronics(以下、Samsung)の新たな競合となるRapidusには、この先まだ大きな障壁が立ちはだかっているという。
日本政府は国内の半導体業界再建にあたって、RapidusとTSMCの2社に期待を寄せている。うまくいけば、Rapidusが最先端の2nm世代半導体を製造し、TSMCが熊本工場でそれ以前の世代の半導体を製造することになる。
小池氏は、IBMとimecによる支援を受けて、業界の巨人であるTSMCのわずか2年後に、世界最先端プロセスノードでの生産開始を実現しようとしている。同氏は「Rapidusは、『枚葉式の処理』というイノベーションによってサイクルタイムを短縮することで、TSMCやSamsungに対する競争優位性を得ることができる」と述べている。
「仮にコストが同じである場合、サイクルタイムを従来ファブの3分の1から半分にできるとしたら、顧客はどちらを選ぶだろうか。われわれは、TSMCよりも先に2nm世代半導体の製造をスタートさせるほどのスピードはないが、高速フィードバックで量産を加速させ、追い付くことは可能だ」(小池氏)
同氏は「歩留まりを量産品質まで高める上で必要となる重要なデータを、Rapidusは枚葉式の処理によって他のファウンドリーよりも40%速く提供できる」とも述べている。
同氏は、枚葉式の処理が歩留まりの向上に有効であることは広く認識されているものの、大手ファウンドリーがそれを取り入れることは難しいとみている。
「TSMCやSamsungがこのアイデアに追随することはできない。技術者たちは皆、バッチ式の方がはるかに効率的で生産性が高いと信じている。こうした考えを変えることはないだろう」(小池氏)
半導体メーカーは数十年間にわたり、50枚のシリコンウエハーを一度に処理するバッチ式を用いてきた。Rapidusは、東京エレクトロンやApplied Materialsといった主要な半導体製造装置メーカーを説得し、Rapidusが必要とする枚葉式処理のための装置の提供を受けているという。
小池氏は、「私には、Applied MaterialsのCEOであるGary Dickerson氏のような素晴らしい友人が数多くいる。東京エレクトロンも同じく、私の考えを徐々に理解してくれた。Applied MaterialsやLam Research、東京エレクトロン、SCREENなどのさまざまな装置メーカーとの協業により、新しい枚葉式処理装置を開発してきた」と述べている。
Rapidusは2024年末頃に、最初のEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置を導入する予定だとしている。開口数(NA)が高い高NA EUVリソグラフィ装置ではないという。小池氏は、「高NA EUV技術を確立するには時間がかかる。ASMLの『NXE:3800E』のような装置は非常に素晴らしい」と述べている。
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