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「ソフトウェア中心」は変わらない Emerson傘下の新生NIが強調年次イベントを開催(1/2 ページ)

National Instruments(NI)は2024年5月、米国テキサス州オースティンで年次イベント「NI Connect」を開催した。NIは2023年10月にEmersonに買収され、現在はEmerson傘下の企業になっている。

» 2024年07月03日 09時30分 公開

 2024年5月に開催された「National Instruments Connect」は、最近のEmersonによるNational Instruments(NI)買収に続く画期的なイベントとなった。NIの現プレジデントで、新たにEmersonのテストおよび計測グループ担当プレジデントに任命されたRitu Favre氏が参加者を迎え入れた際、会場はしびれるような空気に包まれた。Favre氏は、この先の日々に向けて人々を鼓舞するようなトーンで、テストにおけるイノベーションやレガシー、自動化の未来を強調するスピーチを行った。

NIのプレジデントを務めるRitu Favre氏 NIのプレジデントを務めるRitu Favre氏[クリックで拡大]

 Favre氏は、温かい歓迎への興奮と感謝を示しながら、NIが積み重ねてきた歴史の新たな章の重要性に言及した。その上で「当社は今やEmersonの一部となった。この買収により、NIにはエキサイティングな可能性が開かれている」と述べた。同氏は参加者に対し、NIというブランド、そしてその名が意味するところが変わらずあり続けることをあらためて保証し、新たなオーナー企業の下でNIのイノベーションのレガシーと品質が維持されることを約束した。さらにFavre氏は「われわれの目標は、テストにおける際限なき自動化というビジョンを拡大することだ。この旅の一員であることにワクワクしている」と述べた。

 Favre氏はスピーチの中で、50年近くにわたりテストおよび計測分野を切り開いてきたNIの歴史に触れた。同氏はNIの起源に焦点を当てながら、PCベースの技術が業界を大変革させるというビジョンを示した。そうしたビジョンこそが、“intense innovation(徹底的なイノベーション)”というNIの文化を生み出したのだろう。そうした文化の一例として、1986年にリリースされた図形処理プログラミング言語および開発環境「LabVIEW」が挙げられる。LabVIEWは、NIのテストに対するソフトウェア中心のアプローチの礎となった。また、データ収集やテスト自動化において重要な役割を担うようになり、業界で熱烈に受け入れられてきた。

 Favre氏は「LabVIEWは、エンジニアや企業による目標達成を後押しし、データ収集装置からロボット、複雑なテストシステムまであらゆるものに力を与えることに貢献してきた。NIにとってLabVIEWが持つ意義は極めて大きい。“software instrument(ソフトウェア計測)”という言葉は、当社が米国テキサス州オースティンに置くキャンパスの道に文字通り刻まれている」と述べた。

 Favre氏は今後についても言及し、そうしたイノベーションのレガシーを維持していくことの重要性を強調した。また同氏は、NIのソフトウェア中心のアプローチに対するコミットメントの概要を示した。そのアプローチは、小規模なプロジェクトの中や大掛かりなテスト環境を管理する中でなど、エンジニアがあらゆる状況で取り組む計測タスクを簡素化するためのものである。さらにFavre氏は、ハードウェアやソフトウェアの向上、人材の改善など現行の製品投資の重要な役割についても強調した。

 NI Connectは、NIがEmersonのリーダーシップの下で新たな時代に乗り出す中で、同社とそのコミュニティーにとって重大なマイルストーンとなった。Favre氏はスピーチで、NIの将来に対する明確なビジョンを示し、テストと計測分野における継続的な革新と卓越性へのコミットメントを約束した。

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