Lloyd氏は、設計ツールもADIの強みだと強調する。一例が無償提供しているSPICEシミュレーター「LTspice」だ。DC/DCコンバーターなどパワー系の回路設計を容易にするツールも強化している。「LTpowerCAD」は、電源仕様に適したデバイスの選定から回路設計までを簡単に行える。周辺回路のインダクターやコンデンサーなどの定数も自動で算出するので、設計者の負担を大幅に減らす。LTpowerCADには、システム全体の電源回路を最適化できるツール「LTpowerPlanner」も含まれている。「Maxim製品のLTspiceモデルも順次追加しているさなかだ。他にも、電源設計の負担を減らすツールを積極的に追加していく。いずれはアナログ/パワー設計の分野でもAI(人工知能)の活用が進んでいくのではないか」(Lloyd氏)
日本市場については「極めて重要な市場」とし、「FA(ファクトリーオートメーション)やヘルスケア、オートモーティブなど、日本が進んでいる分野は多くある。ADIには、これらの分野で日本の顧客と協業してきたからこそ生まれた製品もある」と語った。日本市場向けには、Silent Switcher 3のLT8624SやLTC7878などの展開に力を入れていくという。
Lloyd氏は、「Linear TechnologyのSilent Switcher技術やμModule技術、MaximのnanoPower技術などがADIのポートフォリオに加わり、広範な製品群がそろった。これが最大の強みだ。設計者の課題に応えられる製品を提供しやすくなっている」とあらためて強調した。
「パワーマネジメントは“アート(芸術)”にも似た側面があるのではないか。匠の技術が物を言う、まさに『モノづくり』の世界だと思う。技術的な課題はもちろんあるが、完成されたアナログ半導体は業界に大きな価値をもたらすと確信している」(Lloyd氏)
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