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「DXがアナログ半導体の需要を加速する」 ADI日本法人社長 中村氏シグナルチェーンの出入り口を担う(1/2 ページ)

2020年11月、Analog Devices(ADI)の日本法人、アナログ・デバイセズの代表取締役社長に就任した中村勝史氏。コロナ禍を経て、中村氏は「産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)により、アナログ半導体の需要は増す」と見ている。中村氏に、アナログ・デバイセズの戦略を聞いた。

» 2023年09月06日 16時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

手掛けるほぼ全ての市場で需要増に

――コロナ禍のさなかに日本法人社長に就任されましたが、それから約2年半が経過していかがですか。

中村勝史氏 あっという間の2年半だった。ここ1年ほどは、日本も欧米と同じレベルでコロナ関連の規制が緩和され、ようやく顧客とも対面で会えるようになった。それに伴い、今までできなかったこと、やりにくかったこともできるようになり、やりたいことが一気に増えた。

アナログ・デバイセズ社長 中村勝史氏 アナログ・デバイセズ社長 中村勝史氏

――コロナ禍によって成長した事業分野はありますか。

中村氏 アナログ・デバイセズが手掛けるほぼ全ての市場で需要が伸びている。まず、リモートワークやステイホームにより、民生や通信向けの製品の需要が増えた。それに伴い、産業機器向け製品の需要も非常に増えている。さらに医療分野も伸びた。ここはコロナの感染拡大が始まった当初から、当社が優先的に行ってきた事業だ。

――これから成長していくとみている分野についてお聞かせください。

中村氏 デジタルインダストリー、つまり事業のDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。

 パンデミックによるサプライチェーンの混乱を経験し、どの国も危機感を募らせている。その結果、半導体を含め、産業インフラのサプライチェーンを政府レベルで見直すようになった。2023年5月のG7広島サミットでも、半導体が話題に上ったほどだ。半導体は安全保障にも深く関わるということを、誰もが認識するようになっている。

 その結果、さまざまな国/地域で、製造拠点を自国あるいはその周辺に設ける“自前主義”が進んでいる。裏を返せば、人件費が高くなる可能性があるということだ。それをできるだけ回避するには、工場の自動化やデジタル化が欠かせない。最近は、半導体市況が低迷しているが、工場のデジタル化、インテリジェンス化に対する投資の勢いは全く衰えていない。

――日本でも、産業のDXが加速するとみていますか。

中村氏 欧米に比べて日本市場のユニークなところは、島国なので方向性を合わせやすいという点だ。欧州は、大陸はつながっているが多数の国が存在する。米国も、政治的に分断があり、実はまとまりにくいという側面を持っている。その点、日本には大きな分断や分散がない。「DXを一斉に実現する」と決めれば、速く進むのではないか。市場開拓を含め、やるべきことがたくさんあり、アナログ半導体メーカーであるわれわれにとってDXは非常に面白い市場だ。

DXでアナログ半導体の需要は加速する

――DXが進むことで、アナログ半導体にはどのようなニーズが出てくるのでしょうか。

中村氏 産業DXでも自動車でも、自動化やインテリジェンス化のためにプロセッサで演算するには、センシングで得られるデータが欠かせない。センシングというのは全てアナログの世界だ。世の中がどれほどデジタル化しても、シグナルチェーンで考えれば、「全てアナログで始まり、アナログで終わる」ことになる。つまり、何かをインテリジェンス化しようと思ったら、必ずアナログ半導体が必要になるということだ。アナログ半導体の需要は、今まで以上に増えていくだろう。

――どれだけプロセッサの性能が上がったとしても、きちんとA-D変換されなければ、プロセッサの真価を引き出せない、ということですね。

中村氏 その通りだ。データがなければプロセッサは演算できない。では、そのデータはどのように生成されるのか。そこを担うのがアナログ半導体なのだ。

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