ソニーグループのイメージング&センシングソリューション(I&SS)分野の2024年第1四半期業績は、売上高が前年同期比21%増の3535億円、営業利益が同188%増の366億円とそれぞれ大幅増となった。モバイル向けイメージセンサーの増収と為替の好影響が主な要因だ。
ソニーグループ(以下、ソニー)は2024年8月7日、2025年3月期(2024年度)第1四半期(4〜6月)連結業績を発表した。イメージング&センシングソリューション(I&SS)分野の売上高は前年同期比21%増の3535億円、営業利益は同188%増の366億円とそれぞれ大幅増となった。モバイル向けイメージセンサーの増収と為替の好影響が主な要因だ。なお、調整後OIBDA※)では同51%増の1058億円だった。
※調整後OIBDA(Operating Income Before Depreciation and Amortization):営業利益と減価償却費および償却費(コンテンツ資産に含まれる繰延映画製作費、テレビ放映権、自社制作のゲームコンテンツおよび原盤制作費、繰延保険契約費の償却費を除く)からソニーグループが非経常的と判断する損益を除いた指標。
I&SS分野の売上高は、モバイル向けイメージセンサーの販売数量増および製品ミックス改善による増収および為替のプラス影響が369億円分の他、デジタルカメラ向けイメージセンサーでの増収もあり、前年度比607億円増の大幅増収となった。営業利益は、減価償却費の増加および製造経費の増加はあったが、増収および為替の好影響(+214億円)によって、同239億円増の大幅増益になった。
ソニーは、I&SS分野の2024年度通期見通しについて、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)用のマイクロOLEDの大幅な需要減の影響を見込む一方で為替のプラス影響を考慮し、売上高が前回予想(2024年5月時点)から100億円増の1兆8500億円、営業利益を同50億円増の2750億円とした。
なお、従来予想では、2024年通期の平均為替レートを1米ドル145円前後、1ユーロを157円前後としていたが、今回の予想では2024年度第2四半期から第4四半期の平均為替レートの前提は1米ドル148円前後、1ユーロ160円前後とより円安に改めた。2024年第1四半期の平均為替レートは1米ドル155.6円、1ユーロ167.6円だった。
この日開催した決算説明会の冒頭、ソニーグループ社長の十時裕樹氏は足元での急激な為替および株価の変動に触れ、「米国中心に景気が弱くなるかが最大の関心事だ。注意深く見守っていきたい。今回示した業績見通しにおける為替前提レートは結果として本日(2024年8月7日)の相場に近いレートだが、いずれにしても今後市況の変化を注意深く見守ったうえで最新の注意をもって事業運営に当たっていく」と語っていた。
ソニーによると、2024年度第1四半期のスマートフォン製品市場は、前四半期から継続してグローバルで緩やかながらも着実に回復したという。また、中国を中心とした製品市場の価格帯の二極化トレンドも継続していて、同社執行役員財務/IR担当の早川禎彦氏は、「この影響を受けたハイエンドスマホ市場の拡大にも後押しされ、当社の出荷するセンサーの大判化にさらなる進展がみられる」と説明。市場環境はおおむね期初の見通し通りに推移しているという。
2024年第2四半期以降は、超広角および、望遠カメラ用センサーの大判化が「もう一段進む」と見ているといい、早川氏は、「このトレンドとカメラの動画性能の向上に向けたセンサーの高性能化が、モバイルセンサー市場の中期的な成長ドライバーになると見ている」と述べた。
また、センサーの歩留まり問題についても、歩留まり改善は2024年5月時点の計画通り進捗していて、「2024年度中に正常なランレートを達成することを目指している」と説明。さらに既存の生産設備の最大限の活用と新規投資の厳選も進め、「その他の開発やオペレーションの効率化施策と合わせ、本中期経営計画での重要テーマである収益性の改善に取り組んでいく」と強調していた。
なおウエハーベースの生産能力は、2024年度第1四半期が設営ベースで月産14万8000枚(3カ月の平均値)、ウエハー投入枚数は1カ月当たり14万4000枚(同)だった。2024年度第2四半期は設営ベースが月産14万9000枚(同)、投入枚数は1カ月当たり14万8000枚(同)と見込んでいる。
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