英国Raspberry Piが、ソニーセミコンダクタソリューションズのAI(人工知能)処理機能搭載イメージセンサーを採用した「Raspberry Pi AI Camera」を発売した。希望小売価格(税別)は70米ドル(約9900円)。両社は、「本製品を通じ、エッジでの画像処理を実現するAIソリューション開発の加速をめざす」としている。
英国Raspberry Pi社とソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、SSS)は2024年9月30日、SSSのAI(人工知能)処理機能搭載イメージセンサーを採用した「Raspberry Pi AI Camera」を同日発売すると発表した。正規販売代理店での希望小売価格(税別)は70米ドル(約9900円)だ。両社は、「本製品を通じ、エッジでの画像処理を実現するAIソリューション開発の加速をめざす」としている。
同製品は、SSSが2020年5月に発表した、有効画素約1230万画素のインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」を搭載したものだ。IMX500は、ロジックチップに、通常のイメージセンサー信号を処理する回路に加え、AI処理に特化した独自のDSPやAIモデルを書き込むためのメモリなどを集積したことを特長としている。
一般的に画像データは膨大となるため、それを活用したAIソリューションを開発する場合、追加でGPUやアクセラレーターなどを用意する必要が出てくる。今回のAIカメラは、IMX500上でAI処理が可能なため、Raspberry Piと接続するだけの構成で手軽にエッジAIソリューションを開発できるとしている。
さらに、今回のAIカメラはRaspberry Pi ZeroやZero 2を含む全てのRaspberry Piのシングルボードコンピュータ(SBC)に対応している。両社は、「これによりユーザーは、広く使用されている『libcamera』と『Picamera2』のソフトウェアライブラリを活用し、使い慣れたハードウェアとソフトウェアを用いた開発が可能になる」と述べている。
実際にRaspberry Piは2024年4月、ドイツで開催されたエレクトロニクス業界の展示会「embedded world 2024」において同製品を展示し、Raspberry Pi Zero 2 Wと接続した構成でデモを実施。リアルタイムの物体検知や骨格推定がスムーズに行われている様子を公開していた。
同製品は、MobileNetSSDをプリインストールしている。Raspberry PiのCEO(最高経営責任者)であるEben Upton氏は「より多くのモデルがRaspberry Pi OSに事前インストールされていて、ユーザーがカメラに転送できるようになっている」と説明。さらに、「SSSのツールを使えば、既存のニューラルネットワークモデル(TensorFlowやPyTorchなど)を変換し、AIカメラ上で効率的に実行可能だ。また、IMX500のニューラルネットワークエンジンを活用する新しいモデルの設計もできる」としている。
なお、今回、Raspberry Piコミュニティーの開発者にとってのメリットや、SSSのエッジAIソリューションにおける狙いなどについて両社からより詳細な内容を下記記事で聞いている。
AIカメラの主な特長は、下記の通りだ。
カメラモジュールのサイズは幅25mm×高さ24mm×厚さ11.9mm。動作温度範囲は0〜+50℃。少なくとも2028年1月までは生産を継続する。
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