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Raspberry Piが英国で上場へ、IPO検討を正式発表売り上げの72%が産業/組み込み市場

英国Raspberry Pi社は2024年5月15日(英国時間)、英国ロンドン証券取引所での新規株式公開(IPO)を検討していることを明かした。同社HPに、関連書類を公開した。

» 2024年05月20日 17時03分 公開
[永山準EE Times Japan]

 英国Raspberry Pi社は2024年5月15日(英国時間)、英国ロンドン証券取引所での新規株式公開(IPO)を検討していることを明かした。同社HPに関連書類を公開した。

 同社のCEO(最高経営責任者)を務めるEben Upton氏は声明の中で「Raspberry Piの高性能かつ低価格なコンピューティングプラットフォームの市場は拡大を続けている。当社は、ますます重要な役割を果たすための技術ロードマップを有していて、われわれの成長の次のステージに乗り出すことに胸を躍らせている」などとコメントしている。

世界70カ国以上で展開、売上高は2億6580万ドル

 Raspberry Pi社は、高性能で低価格のシングルボードコンピュータ(SBC)「Raspberry Pi」を手掛ける企業で、2013年にRaspberry Piを開発する英国のチャリティ組織Raspberry Pi財団の完全子会社として分立した。Raspberry Piはもともとは、子供や学生の教育向けとして開発されたが、近年は産業/組み込み用途でも幅広く利用されている。

 同社の製品ポートフォリオは、SBCや組み込みモジュール版の「Compute Module」のほか、アドオンボードやカメラモジュール、ディスプレイなどのアクセサリーおよび半導体(マイコンチップ「RP2040」など)などで構成されている。同社によると、2012年の販売開始以来、既に累計6000万台以上のSBCおよびコンピュートモジュールの販売実績があり、2023年だけでも740万台を販売したという。同社は最大手の顧客メーカー向けに、カスタムハードウェアおよびソフトウェアソリューションの設計、開発、製造も行っている。

 また、Raspberry Pi社は「戦略的株主であるソニーやArmを含む世界トップクラスの技術パートナーとの緊密な協力関係を維持していて、半導体知的財産の開発、半導体および電子製品の製造、先端プロセスノードでのチップ設計、無線周波数および電力エンジニアリングにおける補完的な能力を活用している」とも説明している。

 Raspberry Pi社の2023年度(2023年1〜12月)業績は売上高が前年度比41.4%増の2億6580万米ドル、営業利益は同87.5%増の3750万米ドルだった。製品は世界70カ国以上で販売されていて、2023年の販売台数のうち72%が占める産業/組み込み市場で、愛好者および教育市場は28%だったという。

 なお、同社の2023年のTAM(Total Addressable Market)は212億米ドルだったと推定。そのうち産業/組み込み市場が163億米ドルとなっていて、「産業/組み込み市場は現在、当社の販売台数の半分以上を占めていて、今後の成長も見込まれる。われわれは産業/組み込み市場の顧客にサービスを提供するため、主要な製造パートナーであるソニーと協力し引き続き製品の品質に注力する」などと述べている。

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