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AIサーバ向けMLCC好調、村田製作所は増収増益通期予想も据え置き(1/2 ページ)

村田製作所の2024年度上期業績は、売上高が前年同期比9.0%増の8835億円、営業利益は同13.9%増の1582億円だった。AI(人工知能)サーバ関連の需要拡大を背景にコンピュータ向けのMLCC(積層セラミックコンデンサー)が好調だった。

» 2024年11月06日 10時30分 公開
[永山準EE Times Japan]

 村田製作所は2024年11月1日、2024年度上期(2024年4月〜9月)の業績を発表した。売上高は前年同期比9.0%増の8835億円、営業利益は同13.9%増の1582億円だった。

 AI(人工知能)サーバ関連の需要拡大を背景にコンピュータ向けでMLCC(積層セラミックコンデンサー)が増加した他、スマートフォン向けでも高周波モジュールや樹脂多層基板(メトロサーク)が増加、円安の影響もあり増収となった。営業利益は、製品価格の値下がりや固定費の増加に対し、操業度の回復や円安効果、コストダウンにより増益となった。なお、為替影響を除くと、売上高は前年同期比2.6%増となる一方、営業利益は準変動費/固定費増加などの影響から、同5.0%減になる。

2024年度上期および第2四半期の業績概要[クリックで拡大] 出所:村田製作所 2024年度上期および第2四半期の業績概要[クリックで拡大] 出所:村田製作所

期初予想から上振れ着地、円安影響で

 2024年4月時点の業績予想比では、為替の好影響から売上高は+3.7%、営業利益は+2.7%とそれぞれ上振れて着地した。ただ、為替影響を除いた場合、売上高はほぼ期初想定通りで、営業利益については「想定を少し下回った」としている。主に電池事業で在庫消化を進めたことが要因だという。

 なお、電池事業については、パワーツールおよびデータセンター市場に特化し、2025年度に黒字化を目指すとして、構造改革を進めている。同社は今回、「パワーツール市場は顧客によって濃淡はあるが、ほぼ市中在庫が健全化してきた状況で、下期からは需要見合いの生産に移行できると考えている。固定費の調整は計画通り進捗しており、2025年度の黒字化に向け今のところ順調に進んでいる」との見解を示していた。

 2024年度第2四半期(6〜9月)業績では、売上高が前四半期比9.5%増の4618億円、営業利益は同38.3%増の918億円となった。売上高は、スマホ向けで樹脂多層基板や高周波モジュール、コンデンサーが増加したほか、コンピュータ向けでもコンデンサーが増加したことが主な要因だ。営業利益は、円高の進行や製品価格の値下がりはあったが、操業度の上昇によって増益となった。

 2024年度第2四半期の受注高は、前四半期比で減少した。円高の進行による外貨建受注残の評価額の低下に加え、リチウムイオン二次電池やコネクティビティモジュールの受注高減少が主な要因だ。

売り上げ/受注/注残の推移[クリックで拡大] 出所:村田製作所 売り上げ/受注/注残の推移[クリックで拡大] 出所:村田製作所

 なお、出荷額に対する受注額の割合を示すコンデンサーのBBレシオは0.96となったが、為替レートの評価替え影響が大きく、「実際にはほぼ1に近い」としている。

 MLCCの生産設備の稼働率は2024年度第2四半期、85〜90%で推移したという。2024年下期についてもこの稼働率を維持する予定で、同社は「シーズナブルな注文もあるほか、今後AI機能がどの領域に展開されるかを踏まえ、ミックスを想定しながら操業を進めてくことを考えている。そのためAIが展開される市場に向けての在庫積み増しは続けていく」と説明していた。

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