2024年度上期の売上高をセグメント別に詳しく見ると、「コンデンサー」は、MLCCがAIサーバ関連の需要拡大を背景にコンピュータ向けで増加した他、スマホとモビリティ向けでも増加し、前年同期比13.9%増の4173億円となった。「インダクター/EMIフィルター」も、スマホとモビリティ向けでインダクターが、モビリティ向けでEMI除去フィルターがそれぞれ増加し同15.8%増の1011億円で着地。「高周波/通信」は、コネクティビティモジュールおよび表面波フィルターがスマホ向けで減少したものの、高周波モジュールがスマホやPC向けで増加した他、樹脂多層基板もスマホ向けで増加し、同4.6%増の2257億円となった。「機能デバイス」もコンピュータ向けでアクチュエーター/センサーが増加し同10.7%増の492億円となった。
一方、「エナジー/パワー」は産業機器向けで電源モジュールが、ゲーム機向けでリチウムイオン電池がそれぞれ減少し同8.1%減の837億円となった。
2024年度通期業績見通しは、「2024年4月時点から市場環境に変化は見られるものの、下期の前提為替レートを1米ドル=145円に設定し再度シミュレーションした結果、決算発表時点で通期業績見通しに大きな変動はなかった」と説明。売上高が前年度比3.6%増の1兆7000億円、営業利益が同39.2%増の3000億円とする従来予想を据え置いた。
事業環境としては、AIサーバ関連の部品需要が強くなっている一方、スマホ市場では中華圏におけるローエンド端末の割合が増加している他、EV(電気自動車)市場の成長率が想定比で緩やかになっているといった変化を挙げている。
同社によればサーバ1基当たりのMLCC搭載数は、従来のサーバと比較しAIサーバが最大10倍になるという。村田製作所社長の中島規巨氏は、「AIサーバは今後も2025年、2026年と大きく成長と考えている。われわれのAIサーバ関連の売り上げを見ると、23年から24年にかけて約2.8倍成長している。まだ黎明期だが大きな成長市場と見ている」と語っていた。
AIに関してはサーバの他、ノートPCやスマホ、自動車などのオンデバイスAIの市場拡大も期待されている。中島氏は「この2、3年の中でAIはキーテクノロジーとなり、市場をけん引する。そこに対する貢献に一番重きを置いている」と説明。MLCCやインダクターにを中心に小型/大容量化といった要求に応えるのはもちろん、データセンター向けの電池など、関連製品/技術についての取り組みを強化していく方針を示した。
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