前述の通り、既存の低熱膨張ガラスを上回るさまざまな特長を有するというコージライトだが、宇宙産業では、新たな材料の採用において宇宙での実績を重視する傾向があり、採用はなかなか進まなかったという。
京セラは、各メーカーへの売り込みや展示会やカンファレンスにおける地道なPR活動を継続。そうした中で2024年6月、京セラは国際宇宙ステーション(ISS)に設置された小型光通信実験装置に、コージライト製のミラーとして「世界で初めて」(同社)採用されたことを発表した。ここではISSから地上への光通信の際、光を最適な角度に調節するためのミラーとして同社のコージライトが採用され、実際に低軌道上のISSから地上の可搬型光地上局への光通信を実現。神浦氏は、「この宇宙実績は一つの大きなターニングポイントだ」し、今後の採用拡大への期待を示していた。
京セラのファインコージライトミラーが搭載された光通信アンテナ(QSOL)を含む低軌道高秘匿光通信装置(SeCRETS)。[クリックで拡大]出所:京セラ(画像提供:国立研究開発法人情報通信研究機構、ソニーコンピュータサイエンス研究所、次世代宇宙システム技術研究組合)宇宙産業は、2040年には100兆円規模に拡大するといった予測(モルガン・スタンレーによる)もあるなど活況だ。国際的な競争も加速していて、日本でも今後10年間で政府が総額1兆円規模の支援を行う方針の「宇宙戦略基金」が立ち上がった。京セラはこの成長市場での存在感を高め、宇宙関連の事業規模を2029年度に現在の5億円程度から、6倍となる30億円に拡大することを目指している。
半導体の微細化に貢献 製造装置の精度向上を実現するファインセラミックス、京セラ
新たな無線中継技術でミリ波エリアを効率的に拡大
京セラの諫早新工場の建設開始へ 半導体パッケージなど生産強化
霧の中でも100m先を見通す車載用FIRセンサー、京セラ
京セラ、0.3mmピッチ基板対基板コネクターを発売
GaNレーザーを使った光無線通信「Li-Fi」、京セラがデモCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング