京セラは「ワイヤレスジャパン」(2023年5月24〜26日)に出展し、1〜2km先まで照らせるGaN(窒化ガリウム)レーザーや、GaNレーザーを使った光無線通信「Li-Fi」を展示した。
京セラは、ワイヤレス(無線)技術/ソリューションの専門展示会「ワイヤレスジャパン」(2023年5月24〜26日/東京ビッグサイト)に出展し、GaN(窒化ガリウム)レーザーを使った光無線通信「Li-Fi(Light Fidelity)」を展示した。なお、GaNレーザーには、2014年にノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏の青色発光ダイオード(LED)の技術を活用している。
Li-Fiは、光を小刻みに点滅させることでデータの無線伝送を行う“現代のモールス信号”のような技術だ。電波を使った無線通信では、周囲の環境によって電波干渉が発生したり、電波が届きにくい場所があったりするといった課題がある。Li-Fiは、電波よりも高速通信を可能にする無線通信技術として研究されている。また、青色レーザーを使うことで、電波の通りにくい海中などでも長距離通信が可能になる。
京セラのLi-Fiは、25ギガビット/秒(Gbps)までの通信が実証されていて、商用開発キットでも1Gbpsを実現している。展示では、2台のPCを使用し、1台のPCのカメラで撮影した映像を、Li-Fiを使ってもう1台のPCに転送するデモが行われた。
担当者は「今後も無線通信のメイン手段がWi-Fiであることは変わりないだろう。Li-Fiは、一般用のサブ通信として使われる他、電波の影響を避けたい精密機械を扱う病院や航空機などで活用が想定される。Li-Fiは、光が遮られる場所では通信ができないため、使用場所が限られる。言い換えれば、光を意図的に遮断することで通信可能な場所を限定することができるため、使用用途に応じてWi-Fiとのすみ分けができるだろう」とコメントした。
GaNレーザーは、BMWのEV(電気自動車)「5シリーズ」のフロントライトにも使用されていて、時速70kmで走行した場合、GaNレーザーを使用したハイビームで600m、技術的には1〜2km先まで照らすことができる。
同社担当者は「素材にSi(ケイ素)を使用した場合はGaNに比べて劣化が早く、通常のLEDで同じ性能を求めた場合は大型化してしまう。素材にGaNを使用することで、小型(7mm×7mm)ながら高出力を実現した」と説明した。
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