市場調査会社のCounterpoint Researchによると、2025年の半導体ファウンドリー業界の成長率は20%に達する見込みだという。主にTSMCや、AIの波に乗った小規模なライバル企業がけん引役だ。
市場調査会社のCounterpoint Research(以下、Counterpoint)によると、2025年の半導体ファウンドリー業界の成長率は20%に達する見込みだという。主にTSMCや、AIの波に乗った小規模なライバル企業がけん引役だ。
この成長予測は、2024年比ではやや減速となる。Counterpointによれば、2024年の半導体業界ファウンドリー業界は22%成長し、2023年の低迷から回復を遂げた。
データセンターやエッジコンピューティングにおいてAIが拡大していることから、最先端ノードを適用した半導体チップの需要が高まっている。TSMCは、5/4nmおよび3nmチップを、同社が独自開発した「CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)」のような先端パッケージング技術と組み合わせることで、このチャンスをものにした。
CounterpointのアナリストであるAdam Chang氏は、米国EE Timesの取材に対して「私たちの予測では、2025年にはファウンドリー全体の設備稼働率が約80%に達し、最先端ノードは成熟ノードを超える稼働率を維持する見込みだ。中国では半導体の自国内製造強化の取り組みが推進されていることから、中国の成熟ノードファウンドリーには他国を超える需要があるとみられる」と述べている。
Chang氏によると、2025年もTSMCの最先端ノード(5/4nmおよび3nm)の稼働率は90%を超える見込みだという。高級スマートフォン向け需要やAmazon、Microsoftといったハイパースケーラーからの受注が続くためだ。TSMCは2025年1月に発表した四半期業績の中で、2025年の売上高が26%も増加する見込みだと予測している。
Chang氏は「半導体業界では、稼働率は収益性を示す重要な指標となる。28/22nm以前と定義される成熟ノードの回復が比較的鈍化しているのは、民生機器や通信機器、自動車、産業などの分野で全体的にエンドユーザーの需要が低迷しているからだ」と述べる。
「GlobalFoundriesやTower Semiconductor、TSMCのように強力なSOI(Silicon-On-Insulator)生産能力を持つファウンドリーは、拡大するシリコンフォトニクス市場からメリットを享受できる。しかし、シリコンフォトニクス市場は、主流派の半導体需要より小さい。最先端ノードおよび先進パッケージングの分野での優位性を考えると、TSMCは今後もクラウドAI需要の主要な受益者としての地位を維持していくだろう」(Chang氏)
Chang氏はさらに「もう1つの注目すべき重要な技術となっているのが、CPO(Co-Packaged Optics)だ。ハイパースケールデータセンター向けシリコンフォトニクスの主要なけん引要素となる可能性を秘めている。CPOの採用はまだ初期段階にある。TSMCの経営幹部と、NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏はいずれも『CPOが幅広く普及するのはまだ数年先で、売上高に大きく貢献するのは2026〜2027年以降になるだろう』との見解を示している」と述べる。
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