図2は、2025年版Mac Studioのプロセッサ基板の分解の様子である。空冷ファンやヒートシンクの直上に基板は配置されているが、基板上にはさらにヒートパイプ、ヒートシンク、金属LID、サーマルジェルなど多数の放熱対策が施されている。基板の表面にプロセッサとメモリ、裏面には多数のコンデンサーやインダクターが並んでいる。
機能性能と特性性能を最大化するため、あらゆる対策が行われているというわけだ。設計時に熱シミュレーション、ノイズシミュレーションなども十分に実施されているのだろう。弊社ではたくさんのWindows系PCも分解しているが、Apple Studioレベルの対策をしている製品は、あまりお目にかからない(無い訳ではない、NVIDIAの「H100」基板やTESLAの「HW4.0」基板などは、同等の対策を行っている)。単にプロセッサ性能を上げるだけでなく、熱ノイズ対策を含めた基板設計も、性能を追求する上でますます重要になっている。
図3は、Mac Studio M3 Ultra版の基板裏面にある端子の様子である。Mac Studioにはレガシー端子も含め多種多数の端子が設置されている。外部には見えない部分だが、SSDのスロットが2基存在する。最小は1TB、最大は16TB。1TBモデルの場合には片側のSSDスロットしか使用されないが、16TBモデルでは8TBが2つ、両スロットに接続されるようになっている。前述のようにThunderbolt 5が6基設置されている。Thunderbolt 5端子の横にApple製RE-Timerチップが6基並んでいる。
図4はMac Studio M3 Ultra版のプロセッサ基板裏面の様子である。プロセッサおよびメモリの裏面には隙間なくセラミックコンデンサーが並ぶ。中央のプロセッサ直下の部分にはAppleのロゴが刻印されたシリコンキャパシターが10基並んでいる。Appleはプロセッサだけでなく、電源特性を最大化するための受動素子も自ら開発しているわけだ(もちろんTSMCとの連携も含めて)。機能+特性の両輪設計はMac向けのMシリーズだけではなく、iPhoneに採用されるAシリーズにも同様に施されている。
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