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自動運転のキーデバイスとなる車載SoC福田昭のデバイス通信(499) 2024年度版実装技術ロードマップ(19)(2/2 ページ)

» 2025年06月17日 11時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]
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車載SoCではQualcommとNVIDIAが先行

 自動運転の分野では、高度なセンサーや通信ネットワークなどとつながる車載SoC(System on a Chip)がキーデバイスとなる。車載SoCは大量のデータをリアルタイムで処理しなければならない。このため、CPUコア、GPUコア、アクセラレーターコアなどを搭載しており、さまざまな演算処理を高速に実行する。

 さらに車載SoCには、高い性能のAI処理やセンサーフュージョンの処理、電力効率の向上、充実したソフトウェア開発環境、高度なサイバーセキュリティ機能、などが求められる。

 車載SoCの開発企業として先行しているのは、完成車両メーカーを除くとNVIDIA、Qualcomm、Mobileyeなどだ。NVIDIAはゲーム用高性能GPUを改良した高速処理に強い。Qualcommはクラウドとの接続技術やスマートフォン向けで培った多機能かつ低消費の制御技術を得意とする。なおNVIDIAとQualcommが開発してきた車載SoCの世代と主要な性能を以下の表にまとめた。

NVIDIAとQualcommが開発してきた車載SoCの世代と主要な性能 NVIDIAとQualcommが開発してきた車載SoCの世代と主要な性能(上がQualcomm、下がNVIDIA)[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2024年6月11日に開催された完成報告会のスライドから)

12個の64bit CPUコアと1個のGPUコアを内蔵した車載用SoC「ORIN」

 実装技術ロードマップでは、特に、NVIDIAの第4世代SoC「NVIDIA DRIVE AGX ORIN」(以降は「ORIN」と表記)を取り上げた。

 「ORIN」はシリコンダイに12個の64bit Arm Hercules(A78AE) CPUコアとや1個のAmpereアーキテクチャiGPUコア、深層学習アクセラレーターなどを内蔵する。トランジスタ数は170億個に達する。機械学習の推論処理能力は200TOPS〜275TOPS(INT8)である。製造技術は7nm世代のCMOS技術、製造請け負い企業はSamsung Electronicsとされる。

 高速な演算能力の副次的な産物として、「ORIN」の消費電力は非常に高い。放熱構造が重要となる。「ORIN」のSoCパッケージ上部には放熱ジェルを塗布してあり、放熱ジェルとヒートパイプを介してSoCの発する熱を効率よく逃がす。

「NVIDIA DRIVE AGX ORIN」の放熱構造[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2024年6月11日に開催された完成報告会のスライドから) 「NVIDIA DRIVE AGX ORIN」の放熱構造[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2024年6月11日に開催された完成報告会のスライドから)

(次回に続く)

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