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自家用車はレベル3、トラックとタクシーはレベル4の運転自動化を実現福田昭のデバイス通信(495) 2024年度版実装技術ロードマップ(15)(1/2 ページ)

今回はオーナーカー(自家用自動車)とサービスカー(人間あるいは貨物を運ぶ事業に使われる自動車)について、自動運転車両の商品化・商業化状況を説明する。

» 2025年04月09日 11時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

オーナーカーとサービスカーの運転自動化状況

 電子情報技術産業協会(JEITA)が2年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2024年度版 実装技術ロードマップ」(PDF形式電子書籍)を2024年6月に発行した。既に6月11日には、ロードマップの完成報告会を東京で開催している(本コラムの第462回で既報)。

 本コラムではこのほど、ロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、前回の2022年度版に続いて今回の2024年度版も概要をご紹介できるようになった。この場を借りて同委員会の皆さまに深く感謝したい。

 上記の経緯を経て、本コラムの第482回から、2024年度版のロードマップ概要をシリーズで報告している。前回からは、「2.4.2 自動運転・遠隔操作」の内容紹介を始めた。同項目は、「2.4.2.1 開発動向」と「2.4.2.2 要素技術」の2つのパートで構成される。最初のパートである「2.4.2.1 開発動向」は、「(1)自動運転レベルの定義およびAD/ADAS搭載オーナーカーの上市状況」「(2)自動運転に関する法規制整備状況」「(3)国内外のサービスカーの動向」「(4)通信技術と自動運転の最新動向」「(5)スマートシティ」から成る。

「2.4.2 自動運転・遠隔操作」の目次 「2.4.2 自動運転・遠隔操作」の目次[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2024年6月11日に開催された完成報告会のスライドから)

 今回はオーナーカー(自家用自動車)とサービスカー(人間あるいは貨物を運ぶ事業に使われる自動車)について、自動運転車両の商品化・商業化状況をご説明する。ただしロードマップの発行時期が2024年6月なので、内容が古くなっている可能性がある。あらかじめご了承されたい。

高速道路の渋滞時に限定したオーナーカーのレベル3

 始めはオーナーカーの商品化状況である。運転自動化レベル(自動運転の「レベル」については本コラムの前回で説明)で表現すると「レベル2(部分的運転自動化)」「レベル2プラス(+)」のオーナーカーが高級乗用車で普及しつつある。ただし適用領域は、高速道路に限定される。レベル2の機能を搭載したオーナーカーは日本と米国、欧州、中国で既に多数、市販されている。レベル2プラスの機能を搭載したオーナーカーは日本と米国、欧州で市販の実績がある。

 また日本では国産の新型乗用車および新型貨物自動車(車両総重量3.5トン以下)に対しては2021年11月に「衝突被害軽減ブレーキ(AEB:Autonomous Emergency Braking)」の搭載が義務付けられた。AEBは高速道路と一般道路の両方で機能する。2024年7月には輸入車にもAEB搭載が義務付けられた。2025年12月には国産の継続生産車両、2026年7月には輸入の継続生産車両にもAEBが義務付けられる。ただし軽トラックのAEB義務付けは2027年9月になる。

 「レベル3(条件付き運転自動化)」は今のところ、高速道路の渋滞時に限定した乗用車がわずかながら、市販されている。「レベル4(高度運転自動化)」に対応したオーナーカーはまだ市販されていない。

自動運転(AD:Autonomous Driving)機能または先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver-Assistance Systems)を搭載したオーナーカー(自家用車)の上市(市販)状況 自動運転(AD:Autonomous Driving)機能または先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver-Assistance Systems)を搭載したオーナーカー(自家用車)の上市(市販)状況。表中の項目「レベル2(ハンズオフ)」は「レベル2プラス」に相当する[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2024年6月11日に開催された完成報告会のスライドから)
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