ロームは、次世代AIデータセンターに向けた「800V電力供給アーキテクチャ」の開発で、NVIDIAと協業する。新たなデータセンターの設計に対しロームは、Si(シリコン)に加え、ワイドバンドギャップ半導体のSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)など、最先端のパワー半導体デバイスを提供していく。
ロームは2025年6月、次世代AIデータセンターに向けた「800V電力供給アーキテクチャ」の開発で、NVIDIAと協業することを発表した。新たなデータセンターの設計に対しロームは、Si(シリコン)に加え、ワイドバンドギャップ半導体のSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)など、最先端のパワー半導体デバイスを提供していく。
例えば、AIサーバのホットスワップ回路向けに開発した48V電源システム用の100V耐圧パワーMOSFET「RY7P250BM」もその1つ。高いSOA(安全動作領域)性能と、1.86mΩという低オン抵抗を、8080パッケージで実現した。世界的なクラウドプラットフォーム企業の推奨部品に認定されているという。
SiC MOSFETもロームが得意とする製品である。NVIDIAが提唱する「800V HVDCアーキテクチャ」では、1MWを超えるサーバラックに電力を供給する必要がある。ロームのSiC MOSFETは、高電圧・高電力環境において高い効率が得られる。しかも、コンパクトで高密度実装されたシステムでも、高い信頼性を実現できるという。
さらに「EcoGaNシリーズ」として、150Vおよび650V耐圧の「GaN HEMT」や「ゲートドライバーIC」の他、これらを統合した「パワーステージIC」などを提供する。独自のNano Pulse Control技術により、スイッチング性能を向上させ、パルス幅は最小2ナノ秒まで短縮することが可能となった。
この他、同社で第4世代となるSiCチップを搭載した高出力SiCモジュールを用意している。1200V耐圧のSiCモジュールは、LLC方式のAC-DCコンバーターやプライマリDC-DCコンバーターに適した仕様となっている。これらを用いれば、NVIDIAのアーキテクチャで想定される800V送配電システムなど、メガワット級を超えるAIファクトリーを実現できるという。
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