ロームは、パワー半導体のシミュレーション時間を従来に比べ半減できる新SPICEモデル「ROHMレベル3(L3)」を開発した。L3の第4世代SiC MOSFETモデル(37機種)は既にウェブサイト上で公開しており、製品ページ画面などからダウンロードできる。
ロームは2025年5月、パワー半導体のシミュレーション時間を従来に比べ半減できる新SPICEモデル「ROHMレベル3(L3)」を開発したと発表した。L3の第4世代SiC MOSFETモデル(37機種)は既にウェブサイト上で公開しており、製品ページなどからダウンロードできる。
パワー半導体の損失は、システム全体の効率を低下させる。これを抑えるためには、設計段階におけるシミュレーション精度が重要となる。ロームはこれまで、SiC MOSFET用SPICEモデル「ROHMレベル1(L1)」を提供してきた。L1は各特性の再現性を高め、精度の高いシミュレーションが可能である。ただ、シミュレーションの収束性や演算に長い時間を要するなど、課題もあった。
そこでL3は、シンプルなモデル式を採用した。この結果、計算の安定性とスイッチング波形の精度を維持しつつ、従来のL1を用いた場合に比べ、シミュレーションの時間を約半分に短縮できるようになった。これにより、回路全体の過渡解析を高精度かつ短時間で行えるという。
ロームはL3のスムーズな導入をサポートするため、使い方などを記述したホワイトペーパーなども用意している。なお、L3を公開した後も、従来モデルは並行して提供していく。
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