Texas Instrumentsは2025年6月18日(米国時間)、米国テキサス州の2カ所とユタ州の1カ所での工場建設に600億米ドルを投資すると発表した。同社は、AppleやFord Motor、Medtronic、NVIDIA、SpaceXなどの顧客企業のほか、米国商務長官のHoward Lutnick氏からの支援も得ている。
Texas Instruments(以下、TI)は2025年6月18日(米国時間)、米国テキサス州の2カ所とユタ州の1カ所での工場建設に600億米ドルを投資すると発表した。同社は、AppleやFord Motor(以下、Ford)、Medtronic、NVIDIA、SpaceXなどの顧客企業のほか、米国商務長官のHoward Lutnick氏からの支援も得ている。
600億米ドルとは実際には、既存の投資額と、テキサス州シャーマンの「SM3」/「SM4」の2つの新工場への追加投資額を合計したものだと思われる。
2021年11月にシャーマンへの投資について最初の発表が行われた当時、4つの工場に対して合計300億米ドルを投じる可能性があるとされていた。しかしこの数字は、今回の公式声明では400億米ドルに増加している。シャーマンの4つの工場とは、建設が完了し2025年中に初期生産を開始予定の「SM1」と、外装が完成済みの「SM2」、そして将来の需要増に備えて計上されている「SM3」「SM4」だ。
一方で2023年には、ユタ州リーハイにあるTIの2工場に110億米ドル規模の投資を行うことに加え、学生の機会創出/成果向上のためにアルパイン学区とのパートナーシップに900万米ドルを投じることも発表している。そして今回、リーハイの同社初となる300mmウエハー工場「LFAB1」の稼働を開始し、LFAB1に連携する2つ目の工場である「LFAB2」の建設も順調に進んでいることを発表した。
そして最後に、テキサス州リチャードソンでは、世界初となる300mmアナログファブである「RFAB1」を基盤として、2つ目の工場である「RFAB2」を引き続きフル生産に向けて加速させていくことを発表したのだ。
TIのプレジデント兼CEOであるHaviv Ilan氏は、2025年6月18日に発表した同社のリリースで「TIは現在、ほぼ全ての種類の電子システムにとって重要不可欠なアナログ/組み込みプロセッシングチップを提供すべく、高信頼性かつ低コストの300mm生産能力を大規模に構築している。AppleやFord、Medtronic、NVIDIA、SpaceXなどの米国最大手メーカーは、TIの世界クラスの技術と製造の専門知識を頼みの綱にしている。われわれは、米国の次なるイノベーションを引き起こすべく、こうした企業や米国政府と共に連携できることをとても光栄に思う」と述べている。
米国商務長官のHoward Lutnick氏は、これを支持し「トランプ大統領は、人々が毎日使用している電子機器に搭載されるような基本的な半導体をはじめ、米国の半導体製造を拡大していくことを最優先事項としている。TIとのパートナーシップは、今後数十年間にわたって米国の半導体製造をサポートしていくことができるだろう」と付け加えた。
6月18日の発表では、Apple、Ford、Medtronic、NvidiaのCEOの発言はほとんどなかったが、SpaceXは詳細な情報を付け加えて支持を表明した。SpaceXは、衛星インターネットサービスであるStarlinkのキット製造にテキサス州シャーマンで製造されるTIの最新300mm SiGe技術を採用していて、TIの高速プロセス技術をますます活用していくという。
SpaceXの社長兼COO(最高執行責任者)であるGwynne Shotwell氏は声明の中で「SpaceXは1日に数万個のStarlinkキットを、全てここ米国で製造している。さらに事業を拡大するために、PCB製造とシリコンパッケージングに巨額の投資を行っている」と述べている。
「TIの米国製半導体は、当社製品の米国サプライチェーンを確保する上で不可欠であり、同社の高度なシリコン製造能力は、世界中で高まる高速インターネットの需要に応えるために必要な性能と信頼性を提供してくれる」(同氏)
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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