メディア

生産能力5年で2倍へ、キオクシアの生産/投資戦略計画中長期見通しも語る(1/3 ページ)

キオクシアホールディングスの副社長執行役員である渡辺友治氏が、今後5年で記憶容量ベースで前工程の生産能力を2024年度の2倍に高める方針など、同社の生産/投資戦略を語った。

» 2025年06月06日 09時30分 公開
[永山準EE Times Japan]

 キオクシアホールディングス(以下、キオクシアHD)は2025年6月5日、経営方針説明会を開催。同社副社長執行役員である渡辺友治氏は今後5年で記憶容量ベースで前工程の生産能力を2024年度の2倍に高める方針など、同社の生産/投資戦略について説明した。

四日市と北上、国内二拠点体制の特長と強み

 渡辺氏は冒頭、キオクシアHDの主要製造拠点である四日市工場と北上工場の特長について説明。「両工場はビッグデータとAI技術を活用した高い生産性を誇り、事業継続計画(BCP)の観点からも非常に優れた国内2拠点体制だ」と語った。

 四日市工場は「世界最大級」(同社)のフラッシュメモリ製造拠点でありながら、研究開発(R&D)部門を併設している点が大きな強みとする。渡辺氏は「新製品の開発から量産へのスムーズな移管が可能で、設備やプロセスの擦り合わせにおいても高度な技術と技能を生かした強力なシナジーが発揮されている」と説明。また、次世代メモリ開発に向けた先進的なR&Dスペースも保有していることから「将来の技術革新を支える中核の拠点としての役割を担っている」とも強調した。

四日市工場と北上工場について 四日市工場と北上工場について[クリックで拡大] 出所:キオクシアホールディングス

 北上工場では第二製造棟での生産を計画通り2025年秋に開始する予定で、最新設備の導入によって高い生産性を実現し、今後の成長を支えていくとした。渡辺氏は「操業当初から量産に特化するマネジメントを推進し、四日市工場で開発量産を開始した製品に対してさらに改善を加え、歩留まりや生産性を高めるための活動を推進する」と説明。この他、敷地の拡張性が高いという点も北上工場の大きな魅力として挙げていた。

後工程のアウトソーシングを複数地域へ

 前工程の成長戦略としては、四日市工場では高性能製品への切り替えを中心に出力を伸ばしていく。同時に北上工場では大容量製品を中心として拡大を進めながら、長期的には四日市工場と同等規模の生産能力に増やしていく計画だ。同社は今回、市場要求に追従しながら2029年度には記憶容量ベースで現在の2倍規模にまで能力を拡大する方針を示した。

前工程、後工程の生産能力について 前工程、後工程の生産能力について[クリックで拡大] 出所:キオクシアホールディングス

 後工程については「COVID-19やサプライチェーンの課題に取り組んできた」としたうえで、今後アウトソーシングを複数地域に展開すると説明。これまでは中華圏が中心だったが、供給の安定化に向け東南アジアなどを含め拠点の分散を検討しているという。また、国内でも四日市を中心として規模拡大を戦略的に推進する方針を示し、「これは今後の後工程技術の高度化に対し、前工程との連携強化が必要になるためだ」と説明した。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.