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新JFETやSuper Junction品投入へ、InfineonのSiC戦略PCIM Expo&Conference 2025(2/3 ページ)

» 2025年07月23日 10時30分 公開
[永山準EE Times Japan]

第1世代CoolSiC JFET、2026年に量産へ

 近年、AIデータセンターへの電力需要増加、再生可能エネルギー供給の必要性などを背景として直流電力網の重要性が高まっている。Friedrichs氏は「これに伴って、特にブレーカー技術の変革も求められている。直流電力網では、機械式ブレーカーはもはや選択肢ではない。高速かつインテリジェントなブレーカー技術が必要であり、当社は新たなSiC JFIT技術によってこの課題に対応できる」と強調。新開発のSiC JFIT「CoolSiC JFET」を紹介した。

 第1世代品であるCoolSiC JFETは750V品と1200V品を用意している。RDS(on)は1.5mΩ(750VBDss)および2.3 mΩ(1200VBDss)と極めて小さく、導通損失を大幅に低減。バルクチャネルに最適化されたSiC JFETは、短絡およびアバランシェ条件下で高い堅牢性を発揮する。

CoolSiC JFETの概要CoolSiC JFETの概要 CoolSiC JFETの概要[クリックで拡大]出所:Infineon Technologies

 また、上述のQ-DPAKパッケージを採用していて、並列化が容易でスケーラブルな電流処理をサポート。柔軟なレイアウトと統合オプションを備えたコンパクトな高出力システムを実現するとしている。また、受動冷却のディスクリート設計によって、ソリッドステートサーキットブレーカー(SSCB)の電流定格を最大63Aまで拡張できるという。

 同社はCoolSiC JFETの堅牢な短絡機能、線形モードでの熱安定性、正確な過電圧制御機能などによってSSCBやAIデータセンターホットスワップ、eFuse、モーターソフトスターター、産業用安全リレー、車載用バッテリー切断スイッチなど、幅広い産業および車載用途で信頼性が高く効率的なシステム性能が実現できるとしている。

 さらにCoolSiC JFETは、同社独自の接合技術「.XT」接合技術も採用。「産業用電力システムによく見られるパルス状および周期的な負荷条件での過渡熱インピーダンスと堅牢性が大幅に向上する」とも強調している。

 Friedrichs氏は「高電圧ソリッドステート配電においては、オン抵抗が低く低損失かつ、高いアバランシェ耐性が必要だ。その両方のパラメーターにおいて、JFETは優れた性能指標を備えている。従来のSiC MOSFETのTO-247品10個をQ-DPAKパッケージJFETに置き換えれば、同性能が実現できる」と説明していた。

CoolSiC JFETの展示 CoolSiC JFETの展示[クリックで拡大]

 CoolSiC JFETファミリーは2025年後半にエンジニアリングサンプルを提供、量産は2026年に開始する予定だ。

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