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EMC試験をとことんラクに、1GHz幅で一気に掃引するEMIレシーバーキーサイトが初展示(1/2 ページ)

キーサイト・テクノロジーは「TECHNO-FRONTIER 2025」で、EMIレシーバー「N9048B PXE」の機能を拡張したモデルを展示した。タイムドメインスキャン機能の帯域幅を1GHzまで拡張したことで、30M〜1000MHzまでの測定がわずか1ステップで測定でき、EMI測定時間を従来の3分の1に短縮できる。【訂正あり】

» 2025年07月24日 14時00分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 キーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)は「TECHNO-FRONTIER 2025」(2025年7月23〜25日、東京ビッグサイト)で、同社のEMIレシーバー「N9048B PXE」の機能を拡張したモデルを展示した。新しく開発した演算処理ユニット「N9048BSPU - Stream Processing Unit(SPU)」と組み合わせて使用するもので、タイムドメインスキャン機能の帯域幅を従来の350MHzから、約3倍の最大1GHzに拡張できるようになる。これにより、30M〜1000MHzまでの測定がわずか1ステップで測定でき、EMI測定時間を大幅に短縮できる。東陽テクニカが2025年7月22日から販売を開始している。出荷は2025年内に開始する予定だ。

EMIレシーバー「N9048B PXE」(写真下の筐体)と「N9048BSPU - Stream Processing Unit」の外観。TECHNO-FRONTIERでの展示が世界で初めてとなる EMIレシーバー「N9048B PXE」(写真下の筐体)と「N9048BSPU - Stream Processing Unit」の外観。TECHNO-FRONTIERでの展示が世界で初めてとなる[クリックで拡大]

 N9048B PXEは、EMIのコンプライアンステスト用のEMIレシーバー。コンプライアンステストでは、本試験前に広範囲の周波数でレベルが大きなノイズを見つけ、本試験にかけるノイズを絞るプリスキャンを行うことが一般的だ。そのため、いかに短時間で、ノイズをとりこぼすことなく周波数掃引測定できるかが課題になる。

【訂正:2025年7月4日 20:35 当初、PXEは「プリスキャン用のEMIレシーバー」と記載しておりましたが、フルコンプライアンステストでも使用可能なレシーバーとなります。訂正し、お詫び致します。】

 今回の機能拡張モデルは、こうした課題を解決するために開発された。まず、帯域幅が1GHzまで拡張されたことで測定速度が3倍になる。「EMI試験では、被測定物を設置した台を回転させたり、アンテナの位置を変えたりしながら測定する。1GHzを1回で測定できると、こうした測定に関わる作業を行う回数も減るので、エンジニアの手間も減らせる」(キーサイト)

 さらに、1GHzの全帯域を一度にリアルタイムで測定するので(リアルタイム・ギャップレス測定)、突発的なノイズなどを取りこぼすことなく捕捉できる。従来は、30M〜1000MHzの帯域を、350MHzずつ3回測定していたが、これを一度に測定できるので最大で3倍速く効率的に実施できる。新しいPXE拡張機能では、見逃していたかもしれないノイズを確実かつ高速に捉えられるので、測定結果の信頼性と効率が上がる。「EMIレシーバーについて特に要求が厳しい日本の顧客のニーズにも応えられる製品になっている」(キーサイト)

プリスキャンにおけるノイズ捕捉の課題拡張機能の特徴 プリスキャンにおけるノイズ捕捉の課題(左)と、今回の拡張機能の特徴[クリックで拡大] 出所:キーサイト・テクノロジー

 なお、車載機器の試験用(CISPR 25)に、9kHzの分解能帯域幅を選択できることも特徴だ。

デモの様子。ディスプレイの画面下段は、デモ用に生成しEMIレシーバーに入力したノイズで、上段が測定している様子。発生しているノイズを取りこぼすことなく捕捉していることが分かる

 拡張機能を搭載した新しいモデルは、東陽テクニカが開発したエミッション計測評価ソフトウェア「EPX」と組み合わせることで、試験中に現れた目的外ノイズを自動的に除去するなど、使い勝手を向上させられる。

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