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指タッチで磁性を制御可能に? スピンドープ強磁性を発見応力発光半導体に磁性原子を添加

佐賀大学と東北大学、筑波大学、九州大学および、高エネルギー加速器研究機構らの研究グループは、応力発光半導体に希薄な磁性原子を添加することで、「スピンドープ強磁性」が現れることを確認した。

» 2025年08月12日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

希薄磁性の発現機構に「ポーラロン」が関わる

 佐賀大学と東北大学、筑波大学、九州大学および、高エネルギー加速器研究機構らの研究グループは2025年8月、応力発光半導体に希薄な磁性原子を添加することで、「スピンドープ強磁性」が現れることを確認した。

 研究グループは、素粒子の一種で電子に似た性質を持ちながら質量が電子の約200倍という「ミュオン」を用い、応力発光のメカニズムを研究している。この中で、「真性希薄磁性」を発見したという。

 今回は、代表的な応力発光物質である「EuxSr1-xAl2O4(x=0.2〜2%)」において、4化学結合原子以上という極めて長距離の磁気カップリングが存在することを明らかにした。その上で、強磁性相に移転することを確認した。

 さらに、光を照射しながら行った磁化測定により、「ポーラロン」が希薄磁性の発現機構に関わっていることを明らかにした。このことは光を照射することで、希薄磁性半導体の制御が可能なことを示すものだという。指タッチのような加圧によっても磁性を制御できるとみている。

EuxSr1-xAl2O4(x=2%)での新規磁気的挙動[クリックで拡大] 出所:佐賀大学他 EuxSr1-xAl2O4(x=2%)での新規磁気的挙動[クリックで拡大] 出所:佐賀大学他
応力発光結晶格子で、酸素欠陥にトラップされたポーラロン電子の働きにより、希薄磁性原子間に長距離磁気カップリングが発生[クリックで拡大] 出所:佐賀大学他 応力発光結晶格子で、酸素欠陥にトラップされたポーラロン電子の働きにより、希薄磁性原子間に長距離磁気カップリングが発生[クリックで拡大] 出所:佐賀大学他

 研究グループによれば、現在は強磁性の発現が低温時に限られているという。ポーラロン密度を増やすなど構造を制御できれば、転移温度を大幅に向上させることが可能になるとみている。

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