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エッジAI同士が協調 フィジカルAIで目指す「全体最適の製造DX」エイシング CEO 出澤純一氏(2/4 ページ)

» 2025年09月30日 10時30分 公開
[浅井涼EE Times Japan]

製造業の課題は「データ取得/活用」 リテラシーが高い企業はわずか

――製造業のAI導入は、どのように進めていますか。また、顧客はどのような課題を抱えていますか。

出澤氏 エイシングならではの特徴は、受託開発も請け負うが基本的にはライセンス提供か成果報酬を受け取るビジネスモデルということだ。AI導入伴走サービスでは、削減できたコストから所定の割合を報酬として受け取る。AIソリューションを納品して決まった代金を受け取る訳ではないので、目的は「AIを導入すること」ではなく「顧客のコストを下げること」になる。それを踏まえたうえで顧客のデータを整理してみると、そもそもAIが必要ではなく、実は統計的手法や数理最適化で問題を解決できる企業が半数以上ある。そうした場合はAIは導入せず、何が必要かを伝えている。

AI導入伴走サービスの内容 AI導入伴走サービスの内容[クリックで拡大] 出所:エイシング

出澤氏 AIが必要な場合は、もちろんエイシングにしかできないことがあるので、プロジェクト化して取り組む。データをもとに必要なものを整理した段階で要件定義まで終わっているので、開発費用がいくらでコスト削減効果がいくらになるか、投資回収はいつ頃になるかなども示せる。

 いずれにしてもデータの分析は必須で、ここが製造業の課題だ。そもそもセンサーがついていない企業もあれば、データを取得しているがAIの専門家から見て学習に必要なデータがない企業もある。エイシングの顧客は大手企業が多いが、半数以上は適切にデータを取得できていない。さらに、データが取得できていてもきちんと整理できていることはほとんどないので、そこから始める。

 データサイエンスのリテラシーが高い企業は体感で2割ほどと少なく、必要なデータを見極められずコストをかけてとにかく大量のデータを取得している場合もある。エイシングでは実際に工場を訪問して技術者から装置の制御や異常検知に用いるパラメータをヒアリングし、データサイエンスの知見を生かして「1日2回の取得でよい」「今は必要ないが、5年後や10年後を見据えるとこのデータも必要だ」といったアドバイスもする。エイシングは従業員数が多くないこともあり、全てを受け持つことは難しいので、顧客には指針や方向性を示したうえで内製化を支援するようにしている。

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