ロームとInfineon Technologiesが、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体のパッケージ共通化で協業する。車載充電器、太陽光発電、エネルギー貯蔵システム、AIデータセンターなどで採用されるSiCパワーデバイスのパッケージについて、両社が相互に供給するセカンドソース体制の構築を進める。
ロームとInfineon Technologies(以下、Infineon)は2025年9月25日、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体のパッケージに関する協力体制構築について覚書を締結したと発表した。車載充電器、太陽光発電、エネルギー貯蔵システム、AIデータセンターなどで採用されるSiCパワーデバイスのパッケージについて、両社が相互に供給するセカンドソース体制の構築を進める。
将来的に、両社から互換性のある製品の調達が可能になるといい、両社は「ユーザーニーズに応じて、製品を併用するほか、切替も容易になる。今回の協業によってユーザーの設計や調達における利便性向上に貢献する」と述べている。
この協業の一環として、ロームはInfineonのSiC向けトップサイド冷却プラットフォーム(TOLT、DDPAK、Q-DPAK、Q-DPAK Dual、H-DPAKパッケージを含む)を採用する。このプラットフォームは、全パッケージで高さを2.3mmに標準化していて、設計の容易化、冷却システムのコスト削減に加え、基板スペースの有効活用や、最大2倍の電力密度向上を可能にするものだ。
同時にInfineonはロームのハーフブリッジ構成のSiCモジュール「DOT-247」を採用し、互換性のあるパッケージを開発する。これによりInfineonが新たに発表したDouble TO-247 IGBTラインアップに、SiCハーフブリッジソリューションが追加される。ロームのDOT-247は、2つのTO-247パッケージを連結した独自構造を採用したもので、TO-247比で熱抵抗を約15%、インダクタンスを50%低減。これらの特長にからTO-247の2.3倍の電力密度を達成している。
ロームとInfineonは今後、シリコンやSiC、窒化ガリウム(GaN)などさまざまなパッケージについて協業を拡大する計画だ。
ロームの取締役 常務執行役員 パワーデバイス事業担当の伊野和英氏は「ロームは顧客に最適なソリューションを提供することを使命としている。Infineonとの協業は、ソリューションのポートフォリオを拡充するもので、その実現に向けた大きな一歩となる。協業によりイノベーションを推進するとともに複雑さを低減し、顧客満足度をさらに高めることで、パワーエレクトロニクス業界の未来を切り拓いていきたい」とコメントしている。
Infineonのグリーンインダストリアルパワー事業部プレジデントであるPeter Wawer氏はロームとの協業を通じて、SiCパワーデバイスの普及をさらに加速できることをうれしく思う。本協業によって、顧客は設計/調達の各プロセスにおいて、より幅広い選択肢と柔軟性を得られるとともに、脱炭素化を推進する高効率アプリケーションの開発が可能になる」と述べている。
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