超広帯域(UWB)無線通信技術に注力するQorvoは、2025年に車載向けと民生/産業機器向けの2種類のUWB SoC(System on Chip)を発表した。車載グレードの「QPF5100Q」は256KバイトのSRAMと2Mバイトのフラッシュメモリを搭載し、置き去り防止などの用途にもワンチップで対応できる。
Qorvoの日本法人であるQorvo Japanは2025年9月、メディア向けに事業戦略の説明会を実施した。同社は2025年、車載向けと民生/産業機器向けの2種類の超広帯域(UWB) SoC(System on Chip)を発表するなど、UWB無線通信技術に注力しているという。
Qorvoは注力領域としてブロードバンドネットワークなどの「Connectivity」、バッテリーマネジメントなどの「Electrification」、サーバやSSDなどの「AI/Datafication」、そしてスマートフォンやコネクテッドカーといった「Mobility」の4分野を挙げる。
そうした中で現在注力している技術がUWBだ。Qorvo ジャパンカントリーマネージャーの大久保喜司氏は「UWBの普及が拡大している。大きなきっかけとなったのはAppleやSamsung Electronics、Googleなどのスマホへの採用だ」と説明する。スマホ自体の紛失防止機能などにも利用できるが、それに加えて他の機器と連携したハンズフリーアクセスの拡大も見込まれている。
自動車のデジタルキーがその例だ。現在デジタルキーの無線通信にはBluetooth Low Energy(BLE)が広く用いられているが、デジタルキーの電波を第三者が車両まで中継してドアのロックを解除する「リレーアタック」による盗難が発生している。このことから、よりセキュリティの高いUWBが取り入れられ始めている。
その他にもターゲットアプリケーションは多様だ。測距の正確さを生かしたアセットトラッキングや屋内ナビゲーション、住宅やオフィスのドアのハンズフリー開錠、フルフィルメントセンターなどの物流拠点、子どもの置き去り防止などが考えられる。
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