京セラは、キオクシア、アイオーコアとともに「CEATEC 2025」で、次世代グリーンデータセンター向けの光電気集積モジュール「OPTINITY」を展示した。
京セラは、キオクシア、アイオーコアとともに「CEATEC 2025」(2025年10月14〜17日、幕張メッセ)の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ブースに出展し、次世代データセンター用の光電気集積モジュール「OPTINITY(オプティニティ)」を展示した。OPTINITYは、サーバ用プリント配線板(PCB)に搭載し、CPUなどの半導体からの電気信号を光信号に変換するデバイスである。
次世代データセンター向けに、データセンター内の機器の電気配線を光配線化する技術開発が進められている。高速かつ長距離でも減衰が少ない光信号で接続すれば、電力損失を抑えられる。加えて、光デバイスは発熱が少ないので冷却コストを削減することも可能だ。「例えば、発熱が大きいサーバの棟と、発熱が少ないストレージの棟に分けるといったこともできる。そうなれば、データセンター全体として冷却コストを抑えられるようになる」とキオクシアの担当者は説明する。
3社は、こうした次世代グリーンデータセンター向け技術の実現と実装を目指すNEDOプロジェクト*)に参画している。同プロジェクトの下で、京セラはOPTINITY、キオクシアは光インタフェースを採用した広帯域SSD(以下、広帯域光SSD)、アイオーコアは光トランシーバー「IOCore」を開発中だ。
*)NEDO助成事業「グリーンイノベーション基金事業/次世代デジタルインフラの構築/次世代グリーンデータセンター技術開発」
OPTINITYはIOCoreを搭載し、1つのモジュールでPCI Express 5.0(PCIe 5.0)x16に対応する。つまり、512ギガビット/秒(32Gbps×16チャネル)の伝送容量を実現している。「これだけの帯域幅を、このサイズのモジュール1個で実現するのは難しい。当社の高密度実装技術が生かされている」と京セラの担当者は説明する。「IOCoreのチップと光ファイバーを接合するところにも、当社のノウハウが生きている。接合がずれてしまうとファイバーにうまく光が通らず、通信できなくなってしまうからだ」(同担当者)。
さらに京セラは、OPTINITYを実装する基板も手掛ける。この基板には、光で通信する前の電気信号を調整するリタイマICなども搭載されている。サーバ基板に挿入できるコネクターも備えているので、このままサーバ基板に差し込めば光通信できるようになる。
CEATECのブースでは、OPTINITYとキオクシアの広帯域光SSDを光接続し、SSDの読み書きの速度を表示するデモを披露した。読み書きの速度は、従来の電気信号接続と同等レベルで実現できている。3社が開発した技術は、2026年にも実証を開始する予定だ。「データセンターの省エネは喫緊の課題になっている。NEDOの次世代グリーンデータセンター向け助成事業も、確実な社会実装を目指しているので、京セラの技術力で貢献していきたい」(京セラ担当者)
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